Powered by Blogger.
 
2007年5月7日月曜日

ワインに引かれて、すべての料理は善光寺参りができるのか

0 コメント


 フードフランス2007  
Food_france_2007_frederic_coursol_0
 






















アラン・デュカスが若手の実力派シェフを国内から募って、パリの「プラザ・アテネ」のレストランで2週間に渡ってパフォーマンスを繰り広げる「フードフランス 」。その日本版が昨年に引き続き開催されているので、最終日5/1ののランチに駆け込んだ。場所は昨年のグランドハイアットの「フレンチキッチンブラッセリー アンドバー」から、表参道の「ブノワ」へ移転。「ブノワ」と言えば、ビストロ趣味をふんだんに盛り込んだ内装が最高なので(変な木彫りのシェフ人形がガーンと窓辺に飾ってあったり、まるでルイ・マル描くところの「おじいちゃんが住む趣味のいい田舎別荘」感がたまらない!)、その点からいえば、このテロワール感バリバリのイベントの背景としては適当であります。
 
 今回のシェフは、水の都ヴィシーの<ル・ラディオ>というホテルにて気を吐いている
フレデリック・クールソル。メーデーの行進でちっとも動かないタクシーのおかげで、五分遅れで入ったら、テーブルにはすでに両親とコヨーテの広告ウーマン羽鳥さんがアミューズとシャンパンを飲んで盛り上がっている。この間、実家に帰ってついこのことが話題に出たら、行きたい、というので、両親同行。どうでもいいけど、母親のドレスアップ方向が元国土庁長官の扇千景がお得意だったフリル系なのが思いっきり店のムードと対立していたが、考えてみれば彼女たち、フランス料理第一世代なわけで、そのギャップは致し方なし。だってさ、フラン
ス料理の本国のシェフが初めて日本で技術指導を行ったのは、70年万博ですからね。思えば遠くにきたもんです。
  
 「タンニンを利かせた白アスパラガス 真鯛とカルパッチョと共に」がアントレ。これ、造形的には白アスパラのすっくとした寝姿が三本。両脇の日本はワインを煮詰めたソースでワインレッドに染まっており、中央の一本は真鯛を巻き付けて就寝中という、これまたフランス映画のラブアフェアーを想像させるルックスにて、とりあえず、最初の印象は、エロい。白アスパラの形状は食材の中でもまさにアレだが、真鯛のペターンという食感があの柔らかいんだけど繊維質のシャリ感がある独特の白アスパラの食感は口腔内の快楽優先型だ。しかしなが
ら、赤ワイン由来のタンニンとアスパラのマリアージュは、思ったよりも普通。シェフもそう思ったのか、ちょこんと乗っている行者ニンニクのソースが混ざると不思議な輪郭が出る。しかしながら、このクルーソルの料理、もっととんでもない「つけあわせ」があったのだ!
 
 それは、ワイン、なんですねぇ。
 このシェフ、地元、オーベルニュからワインを指定してきているのだが、選んだ「nv-V de T Gamay- Les Puys -Domaine3 Peyra」という赤。これ、生産者が添加物を入れず創っているそうで、オリは多いからデキャンティングだわ、色はほとんどロゼだわ。そして、その味といったら、まあ、私今までこの手を料理屋で飲んだことはないようなシロモノ。近いところでいえば、この間、麻布十番の岩盤浴のアフターで出された、梅クエン酸健康飲料に近い。ソムリエと思わず、話し込んじゃったぐらいだ。
 
 実は、私、シャンパンでアントレを半分食べていて、途中からこの赤に切り替えたのだが、全然料理の印象が違ったものになってくる。要するに、ワインが入って、一皿一皿が堰を切ったように饒舌になるという感じ。
 
 メインは「牛ホホ肉のスフレ カカオの香り」。これはひたすらトロトロの牛煮込みにカカオスフレが奉仕するという、見た目のダイナミックさとは違って優しい一品。とまた、ここで例の赤、が登場するわけだが、なんだが、全く合いそうもない梅系酸味とこの優しい濃厚さが、合わなくはない、のだ。ワインのミネラル分と無添加故のスカッとした酔い心地が利いてくる。(この料理にボルドーの赤は普通で安心だろうけど、きっと印象に残らないだろう)
Food_france_2007_frederic_coursol_3Food_france_2007_frederic_coursol_2 
 











この一品、食べ始めの第一印象よりも、食べ進んで、ワインとも溶け合って、ついに最後の一口で「ああ、別れがたい」という感動を残す。この引っ張り感は、ミシェル・トロワグロの料理で受けた印象と似ている。人でもいるでしょ? 最初はどうって事無かったのに、気がつくと大切な人間になっているような人。
 地元チーズをはさんで、デセールは「シガレット クルスティン ソルベ ニンジン-オレンジ」。これはまあ、ひたすら明るく、可愛いお味だが、やはり柑橘系の酸味がさわやかで、ここにきて、例の赤の酸味の了解が取れたのでした。
 
 フレデリック・クールソル。
 料理に思想を通す、のは、フランス料理のお家芸だが、この、とんでもない地元ワインから発想して、その最大の「付け合わせ」として料理を考えたのではないか、というほどの冒険家ぶりは、私は大好き! たとえていうならば、「ワインに引かれて、すべての料理は善光寺参りができるのか」という逆転の発想ですかね。この日は、ラスト日だったのだが、もっと早くにこれ食べていたら、ディナーも行ってましたね。なんだか、パン粉を敷き詰めたおもしろい肉料理があったみたいで誠に残念。彼の本拠地のホテルにぜひ、行ってみたいものだ。

Leave a Reply

 
湯山玲子公式サイト © 2011 DheTemplate.com & Main Blogger . Supported by Makeityourring Diamond Engagement Rings