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2016年8月7日日曜日

2016年8月7日

2012年の再演を観て、度肝を抜かれた、阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史演出、葛河思潮社公演『浮標』を見に、横浜は神奈川芸術劇場へ。
コチラのパンフ、編集の桃山商事こと清田クンの手になる読み応えのある内容なのですが、今回、私メの語り下ろし文章も5ページ掲載されているのじゃ。
作者はプロレタリア作家として知られる三好十郎。もう、そのジャンル付けで、第三の新人なんかよりも、さらに文学好きを遠ざけていそうなこの作家の手になる戦争直前の「身辺雑記」の何という、豊饒さ!!!
ケラリーノ・サンドロビッチも岸田国士の『パン屋文六の思惑』を演出したことがありましたが、そこに描かれた日本人像と『浮標』のそれの感触はほとんど同じ。
そう、これらの作品に描かれた日本人は。私たちが把握している日本人像とは全く違うのです。「人は人、自分は自分」という個人主義的自立感、空気を読む、というのはもしかして、最近の傾向? というほど、対話が多い。とにかく言葉のレベルが高く、自分のオリジナルな意見を日常にズバズバ言って、後腐れが無い、というまるで、イタリア映画並みの濃い人間関係にまずは驚かされます。
今の日本を覆い尽くしている、思考停止上等のムラ的生き方は、実はそんなに強固な日本の伝統ではなかったのではないか? 近代的自我は付け焼き刃だった、と言いますが、ちょっとこの庶民感覚まで降りている感じは不可解。
結核で死の影がちらつく妻と彼女を献身的に支える貧乏画家、というある意味、単純骨子に、表現することの意味、カネと人間、神の存在、伝統的なイエ社会の軋轢からジェンダー問題まで、とにかく
魅力的なセリフのオンパレードなのですが、前回と今回の観客の違いは、憲法改正問題、トランブ問題、テロ諸問題、という、三好戯曲がテーマのひとつに据えている、「戦争」がリアルにシンクロしているところ。
東京公演は、9/2〜4世田谷パブリックシアターにて。これは、要チェック演劇ですぞ。

バンフテキストに法外なお褒めの言葉を頂いて。アヒル口している私と、長塚圭史さん。

 
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