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2018年1月28日日曜日

2018年1月28日

和田アキ子さん、芸能生活50周年ということで、各年代のグラミー賞受賞曲をカヴァーしたアルバム、WADASOUL COVERS ~Award Songs Collection2018がこの度リリースされたが、一曲目『Up Town Fnk』を聴いてびっくり返ってしまったわたくし。和田アキ子さん、歌のうまさには定評がある方だが、こういう、歌の解釈、いや作曲者さえ考えていなかったようなニュアンスを引き出せる人だっとは!!!

この曲、現在、ファンクのエヴァンジェリスタ的存在マーク・ロンソン、ブルーノ・マーズがヒットさせ、すでにいろんなカヴァーが存在するのですが、どれも、ホットで跳ねるアッパービートの元気系。つまり歌詞においては滑舌のいいソリッドな表現がキモとされているのですが、ここでの和田姐さんはダンサブルなバックトラックを尻目に、その熱気はサウナ後の冷水浴並の温度感。

リズムにちょっと遅れる後(あと)ノリでクールに歌い、この元気な若者曲から、それこそ、デルタ・ブルース級の暗い憂鬱感を匂わせているんですよ。(Uptown 歌詞にJackson, Mississippiとあるから、隠喩もバッチリなんですわ)「ハレルヤ」という歌詞のちょっと粘らせた発音など、そういった、彼女のフィーリングが呼び寄せた仕掛けの数々の細かいことといったら!!!

でもって、土曜日の夜、八王子オリンパスホールにコンサートを聴きに行ったのですが、圧巻は何と言っても『あの鐘を鳴らすのはあなた』でしたね。彼女のトークで知ってのですが、この曲、デビュー直後に売れちゃってもんで、持ち曲が少なくてコンサートでは洋楽カヴァーばかりを歌わざるをえなかった彼女に、「それじゃダメだ」というので、阿久悠がコンサートのラストで彼女をイメージして詞を書いて出来上がったというもの。

「あなたに会えて良かった あなたには希望の匂いがする」という歌詞で始まるこの歌、実は歌謡曲に非常に珍しく、ヒューマニズムを歌い上げていることに今更ながらに気がついてしまったのです。そう、この歌詞に浮かび上がってくるのは恋愛ではなく、尊敬。(悲しいがな日本の恋愛アンド性愛事情では、この二つは両立しないんですわ。というか、そういう歌を私は知らない)

とすると「街は今、眠りの中、あの鐘を鳴らすのはあなた」という心象風景にふさわしいのは、もうもう、ヨーロッパ史で言ったら、ジャンヌ・ダルクのオルレアン陥落だし、フランス革命だし。ベートーヴェン第九の「喜びの歌」クラスのデカい人間賛歌と言っても良いんですよ!

阿久悠は、当時のアルバムのライナーで、才能も身体の大きさも度胸もデカくスケールアウトした和田さんに、それまでには皆無だった新しくそして強靭な女性像を見出した、という意のことを書かれている。

そう、この歌詞、解釈すると面白いことに気がつきます。「あなたに会えてよかった」「あなたには希望の匂いがする」と語り、「あの鐘を鳴らすのはあなた」と言い放つ人間は、どうも性別は男、らしい。一見、男に期待を寄せる女の言葉かと思いますが、女の期待はほとんどが「私を幸せにしてくれるはず」というヤツなので、この歌詞のように希望を託ししたりはしない。「希望」という言葉は、ちょっと浮いた感じの日本語で、自分よりも世の中全体のこととか、私利私欲が脱色されたような語感があるんですね。

そうすると、男が男に惚れて「鐘を鳴らしてくれるのはお前だ! 」となりそうなところですが、歌詞は「あの鐘を鳴らすのはあなた」そう、呼称は「あなた」なんですよ。男が男にそういう呼ぴ方はしないので、この「あなた」は女性というイメージが真っ先に飛んでくる。そう、男が仕事上で尊敬する女にあって、その女を応援したい、という気持ちですよね。シンプルには、頑張って上を目指し(これ単純に出世とかじゃないからね)、困難を克服しようとする女のワタシの応援賛歌ですね。今でこそ、小池都知事をはじめとして、いろんな局面でそういう事実を目にしますが、和田さんがソレを歌った当時、そんなことは男女関係や利害関係抜きで、尊敬ゆえに男が女に期待する、などということはありえなかった。フェミニズムはもっと和田アキ子に注目しても良いんじゃないかい?!

加えて、阿久悠は和田さんのスケール感に期待しつつ、「だからこそ世間にウケている、はみ出し方の部分」に注意しろ、という意のアドバイスも記しています。それは、歌でいうと「独自フィーリング=味を定番化するな」という実にシビアなアドバイス。和田さんのあの『Up Town Funk』はまさにそのことの50年後の回答でした。

楽屋挨拶に伺って、いろいろと音楽の感想を述べさせていただいたら、「今度飲みましょう!!」ということになり申した。実現したら、和田さんに歌ってほしい曲たちをCDに焼いていく所存。ベギー・リーの『Fever』、k.d.ラングの『Hush Sweet Lover』、ニール・ヤング『Helpless』、ビートルズの『Golden Slumber』、バート・バカラックの『Look Of Love』とか、パッと思いついただけでいろいろ出てきましたよ。

関係ないけど、和田さん、服のセンスが素晴らしい。手足が長い外人体型はあのカルヴァン・クライン系のシンプルなステージドレスがお似合いだし、驚いたのは、近年増えているサマソニなどのフェスの出演時の衣装。Tシャツ、ダメージジーンズでヒップホップ感を出しているのですが、アクセづかいやパンツの選び方がキマっているので、「見苦しいおばさんの若作り」に全くなっていない!!! どころか、超カッコいい。スタイリストさん、いい仕事しているなあ。

 
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