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2018年9月5日水曜日

2018年9月5日

凄すぎましたよ。台風21号。明日水曜日のレギュラー、メーテレの『ドデスカ』のために前乗りで名古屋に入らなければならんのに、新幹線が動かない。夜になっても動かない。で、さっき動いて今、新幹線でこれを書いているわけです。

その膨大な待ち時間、何をしていたかと言いますと、明後日9月6日木曜日に行われる、題して「《カルメン ヤバいです! カルチャー文脈から見たオペーラトーク》のために、DVDでふたつの『カルメン』を観まくっていたのでした。(品川アトレのディーン&デルーカ、お世話になりました)

ひとつはカルロス・クライバー指揮、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、カルメンがエレーナ・オブラスツォワ、ドン・ホセがブラシド・ドミンゴ、演出がフランコ・ゼフィレッリのやつでもうひとつが、ジェームス・レヴァイン指揮、メトロポリタン歌劇場管弦楽団、カルメンがアグネス・ヴァルツァ、ドン・ホセがホセ・カレーラスのやつ。

いやー、細かいことは、トークショーで話しますが、演出と音楽は圧倒的に前者。シノーポリの手つきは、あのご存じ前奏曲にすでに悲劇のキナ臭さを感じさせる冴えが抜群。ゼフィレッリも色調と構図のセンスと美意識が格段に高く、特にタバコ工場の女子工員達がタバコをくゆらせながら歌う群衆シーンは、男が怖がる女の快楽問題にまで一気通貫のカッコよさ。最初にそちらを観たので、後者のメットを観たときには思わず、ダサイ、と口走ってしまいましたよ。ちなみに、タバコのシーンは、安いミュージカル芝居みたい、なのだわ。

というわけで、メットの方はカルメンの出方も衣装もイメージもダメダメであらら、と思ったのですが、アグネス・カルメンが例の「ハバネラ」を歌った瞬間、形勢逆転。いやー、アグネス・ヴァルツァ、天才だわ。凄いときの、美空ひばり、中森明菜、ちあきなおみ、役者の表情で言うなら、『こわれゆく女』のジーナ・ローランズまで入っているじゃありませんか!!!

どう見ても「魔性の情熱モテ女」のルックスに欠ける(これは衣装のセンスの悪さも大いにあります)ヴァルツァが、このド頭の一曲だけで、カルメンという女の全てを現してしまうという凄さ。ホセのカレーラスも「顔だけ良くてイモっぼい」アルアル感がその美声の端正さとともにハマっていて、ホント、この二者の関係と力だけで、舞台が完成してしまうという、オペラという表現の独特の境地が見えて面白いんですわ。

それにしても、やっぱりカルメンとホセの逢瀬シーン、第5幕は、曲も展開もセリフも凄すぎる。

「カルメン」。初心者にぴったりなどという、安易な位置づけで分かった気になってはイカン、という芸術上の大名作ですよ。もうすぐ来日する、ブルガリア国立歌劇場の「カルメン」は、もっとアブストラクトなまるで能舞台のような演出で攻めていました。

いろいろ語るので、是非お運びアレ。

https://www.japanarts.co.jp/news/news.php?id=3467
 
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