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2018年10月1日月曜日

2018年10月1日1

【これも長文ゴメン】芸術の秋突入の9/16週末第二弾目は、ミューザ川崎で行われた指揮者の坂入健司郎君が音楽監督を務める「東京ユヴェントス・フィルハーモニー」の創立10周年記念演奏会でした。一昨年の爆クラ! アンサンブルin銀座東急ブラザで棒を振り、爆クラ! オーケストラ(やるんだよ! )の指揮者でもある、坂入クンが今回挑んだのは、ななななんとマーラーの交響曲第8番、「千人の交響曲」。

私が主宰する爆クラ! のコンセブトのひとつは「クラシック以外のジャンルそれぞれに深入りしている、真の音楽愛好家が感応できるクラシック」というものなのですが、そういう人たちにお勧めしたいのが、この「千人」のコンサートでしょうね。といいますか、こんな音響体験ができる音楽ジャンルは、クラシックしかない、という話。

オーケストラと合唱とが、あるときには塊となり、あるときは高圧シャワーの水滴のようにスブラッシュし、音波が天上に駆け上がる「一大音響」の魅力てんこ盛りのこの曲。これだけは、「クラシック以外にまったく存在しないタイプの体験できない音像と音楽体験」なのですよ。

しかしながら、私がこの曲にハマったのは、実は生ではなく音盤から。ノイマン指揮のチェコフィルのやつ。特に合唱の「触れることができぬあなたにも」からの約14分の寂寥と多幸感に打ちのめされてからというものの、ipodのヘビロテリスト殿堂入り。

実は某有名指揮者の肝いりの実演も観ているのですが、その時はまーーったく曲が入ってこなかった経験があり、「同じ曲なのに何なんだ?! と、今やもう理解済の「クラシックの演奏問題」を考えるキーになった楽曲でもあるのです。

いろんな植物や動物やコケや菌や昆虫が違う命を生きて生息する、しかも生存競争バリバリのアマゾンの密林のようなこのマーラーの問題作のポイントは、「で、全体としてどうひとつの世界を見せてくれるのか」という神の領域みたいなところなのですが、我らが坂入君は、完全にそこに手を付けていましたよ!!

マーラー、ブルックナーを始めほとんどの交響曲の大曲は、キリスト教的な救済や「至高」を描いており、アンサンブルが合う、というのは、横並びの関係を揃えるという集団関係的なものとは違って、各々が(個人主義!)が、私の神や至高を求めるその先が一緒(ここを指揮者が出せねかどうか)ということは、昨年のザルツブルグのバインディング×ウィーンフィルのマーラー第9番で私の中に完全に確立したツカミだったのですが、そこんとこ、坂入くんはどうやったのか❓

ほら、動物たちが巨大なノアの方舟に乗り込んでいくような泰西絵画があるじゃないですか。そういう、「たどり着きたい音楽の彼岸」に向かう全員のまとまりは、特に後半とてつもなく素晴らしく、チベット瞑想における脳内ガンマ練が、このとき私のアタマに訪れ、それは会場中にシンクロしたはず。

ソプラノのお二人、中江早希(懺悔する女)、中山美起(栄光の聖母)ちゃんは、昨年秋、銀座の東急プラザで一ヶ月に渡り行われた、「サロン・ド・爆クラ! 」において美声を轟かせてくれましたが、今回もその硬質な透明感はサイコー。そして、びっくりしたのがテノールの宮里直樹(マリアを崇める博士)。ちょっと別格の歌声。この人、要チェックですよ。

プロのオケや合唱と違って、今回の試みのメンバーはアマチュア(要所要所にはプロが入っています)であり、何回も練習、リハを重ねてきたが故の各奏者の「音楽の入り方」が半端じゃなかった、という点はどうしても見逃せない。

関係ないけれど、私は現代美術の一流アーティストの条件として、「アートのことを人生の時間の中でどれだけ考えているのか」という点を重要視するのですが、それで行ったら、今回のアマメンバーたちは、一年間、コケの一念(by 梶原一騎)のようにこの千人〜と格闘してきたわけで、ウィスキーで行ったら、スコッチ20年もの。肉体化したはずの奏法があってこそ、「音楽が自由になれる」という境地が立ち現れたのは本当のことだと思うのですよ。

で、観客から見た不都合な真実を言えば、マーラーの千人のすごい演奏を体験するには、これからも世界で行われるはずの「アマの長期熟成熟成一点突破コンサート」を狙っていけ!!! なーんてことにもなりかねない。(重ねて言いますが、プロオケと有名指揮者のソレが全く私の心に響かなかった、という経験あり、なので)

さて、前述の私の質問に対しての対しての坂入くんの答えは、「がんばらせなかったんですよ!!!」だった。「奏者が頑張ると、オレがオレがとイキリだちが出てきて、曲を奏でると言うことから乖離してしまう」と。いやー、そうでしょうね。それよりも練習を積んで「曲を身体に入れる」ことによって、曲から自由になってこそ、扉が開かれるってね。

アマチュア、シロウトを扱う怖さ、というのは、私も散々仕事の上で経験しているので(彼らは面倒臭いとすぐ逃げちゃうのよ!)、坂入くんの苦労は本当にしのばれる。「もう、2度とやりたくない」と言っていたけど、考えてみれば、世界には「プロにはなれなかったけど、音楽を奏でたいアマ(真剣)」という人はたくさんいるわけで、いっそのこと、一生をかけてマーラーの「千人の交響曲」を世界中でアマを集めてやり続けて見たらどう❓などと思ってしまった。つーか、わたくし、今度合唱の片隅に入れてもらおうかなw。

となると、この行為。もはや、アートの領域ですな。

 
 

 
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