空の美貌を 怖れて泣きし幼児期より 泡立つ声の したたるわたし
春日井健
今回のゲストは、コシミハルさん。80年代中期、テクノポップ、ニューウェーブ全盛期に、シューベルトの『野ばら』をモチーフにした同名アルバムを打ち込みと自身の美声で発表。以降、古き良き時代のシャンソンやスタンダードナンバーをオリジナルな楽曲に併せ、現代に蘇らせ続けている彼女とともに、クラシック音楽の中における旋律、メロディーの魅力を探るとともに、武満徹をして、「この人は天才だよ」と言わしめた、コシミハルさんの音楽成分を追求していきます。
クラシック音楽には、多面的な魅力があります。ひとつはオーケストラが奏でる音響であったり、楽器と楽器が織りなすハーモニーであったり、曲自体のまるで建造物のような構造だったりします。しかし、実のところ、音楽が最も人の心をつかんでいくのは、クラシックに限らず、旋律=メロディーなのではないでしょうか。
過去の「爆クラ」の中でも、当たり前のように扱われながら、ことさらに取り上げることがなかったメロディー。どういう形でやってみようか? と考えたときに、コシミハルさんの存在がひらめきました。
音楽家のご両親の元、3歳でピアノをはじめ、6歳で作曲を始めていたコシミハルさん。 先月、1930年代から40年代を中心としたスタンダード、シャンソンなどを、シネマトグラフのような華麗な響きで蘇らせたアルバム『マダム・クルーナー』も素晴らしかった。
「クラシック音楽もポピュラー音楽も、美しいメロディーはみんな一緒」と彼女は語っていますが、まさにそのセンスこそ、クラシック音楽のメロディーを考えるのに相応しい。はっきり言って、彼女の『アヴェ・マリア』や『野ばら』は、クラシック音楽の表現として、今在るべき姿のひとつです。



