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2009年5月8日金曜日

三月の活動記録 その2~少女まんが館、立川談志、志らく、飴屋法水、冨沢ノボル



そういえば・・・・・。
4月の10日に「女ひとり寿司」の文庫版が幻冬舎から出ました。
女ひとり寿司 (幻冬舎文庫)
女ひとり寿司 (幻冬舎文庫)
posted with amazlet at 09.05.08
湯山 玲子
幻冬舎
売り上げランキング: 42611
解説は上野千鶴子さんです。
ぜひ、本屋にお寄りの際は、チェックしてみてください。

さて、と・・・・。
●3月21日と22日 あきる野の「少女まんが館」 に沈没
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 昨日の喧噪とは真逆の方向に沈没したこの二日間。古くからの知人、さるすべりの大井夏代と中野純夫妻が主催する少女まんが館が武蔵松戸のあきる野に移転したというので、オープン前の館の二階に初の客人として泊めていただきました。
 今度の場所はすごくいいところ。だって、庭先から秋川の河原にダイレクトに降りていけるリバーサイド付きという立地。釣りと少女まんがのカップリングにこの夏は挑戦できるというわけです。
 、蔵書はこの日、まだ運搬されておらず、山ひとつ隔てた旧館にあるというので、翌日の22日はほとんど、旧館にひとり籠もって漫画三昧してきました。私は小学校一年時か月刊「りぼん」を読み続けていたのでしたが、それが実際に目の前に在ることの何という奇跡。その分厚い雑誌には口絵のファッショングラビアページや読者のお便りコーナーがあるのですが、漫画だけでなく、それを未だに覚えている自分がいるんですねぇ! 
 そうなんですよ。この口絵のキャスケット帽に憧れて私は初めて自分の意思で帽子を買い、胸当て付きのサロペットスカートを新宿伊勢丹に買いにいったのだった、ってな過去がまざまざと蘇ってくるのです。
 そして、驚くべきことが、このころ、デビュー数年後の一条ゆかり先生が現役で書いていたテーマは、レズビアンに近親相姦ですぜ。本宮ひろしに嫁いだ、清純派の森田じゅんも「うみどり」という漫画で実は兄と妹だった、という近親相姦を書いてもいたこともあらためて確認できました。もちろん、これ、過激な性描写というのではなく、充分に文学的なものなのですが、コレを小学生時代にたたき込まれちゃったからこそ、この今の自分があるのだとあらためて確信。そう、小学生のワタシは一条センセイが描くところの、酒とバラとファッション、そして、冗談に満ちた日々を送る大人に心底憧れたのでした。(固有名詞としては、カルマンギア、チッペンデール、パリコレ、スペイン戦争・・・・)


●3月26日  立川志らく「雨ン中の、らくだ」出版記念落語会においての立川談志
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 ホール落語のメッカ新宿・紀伊国屋ホールに久々に行ってきました。太田出版の悪ガキ編集者、梅山君が満を持して作った志らく本の出版記念落語会です。
 この正月、深夜から朝までやっていた、立川談志の番組が凄かったので、その”教養”を下準備にて聞く、談志節は二重に刺激的でした。談志の談話の中に古典落語の一説が所々引用されるのですが、そのワンフレーズだけで、あたりの空気が一変してしまうのです。「俺は、立川談志に飽きた・・・・」などという言葉も、あの独特の間をとった語り口で言われると、そこには数々の文学作品が挑んできた、ひとつの”老境"が立ち上ってしまうわけです。
 志らくは上方落語の「たちきり」という作品を披露したのですが、それは完全に師匠・談志とそして、話自体が面白くないときに、どこまでいじってしまっていいのか、という落語についての公開質問のような位置づけ。こうなると、もはや立川談志はアンディー・ウォーホールかデュシャンの域ですね。彼の言葉と存在が、ひとつの信じるに足るフレームになってしまっている。
 、志らくという大変に頭もよく、闘争心もあり、オタク世代以降の現代っ子(多分、物事をナナメに見立てるセンスもある)がこうまで表現人生を一個人に捧げてしまう、という意味はやはり不可思議ではあります。音楽や他の表現だと、こういう師弟関係はあんまり考えられない。水道橋博士と北野たけしの関係にも似ていますが、話芸というものは、そういう力学を欲してしまうのでしょうか。


●3月27日 飴屋法水×平田オリザの「転校生」は女子高生ノイズオケの風格

Ameya























 80年代初期のぴあに新卒入社した私は、演劇担当が最初の部署でした。音楽に突っ込んでいた私は、当時の演劇表現のとてつもない「音のセンスの悪さ、今さら全共闘な時代遅れ感」(なにかっつーと、ストーンズで反抗を、キングクリムゾンでクライマックスを表したりの紋切り型)にうちひしがれていたのですが、その中で見つけた珠玉かつ希少な才能が飴屋法水でした。(情宣に会社にやってきた、若き日のとてつもない美少年ぶりに大きくヨロメいたことは事実ですが)

 初期の集団、東京グランギニョルが行った公演は、当時のニューウェーブやテクノ、ノイズ、サイバーパンクのセンスとシンクロしており、本当に当時、今と同じ様なメディア状況だったならば、絶対に海外のフェスで紹介され、話題になっていたはず! というシロモノ。

 さて、平田オリザ脚本は女子高生の集団の中に、ひとり、転校生という異物が入り、女子高生たちは彼女を受け入れながら、身近でおきている恋愛や出産や死の問題に動揺していくというもの。彼女たちの話題のひとつ、カフカの『変身』が、そのまま、「朝起きたらこの学校の生徒になっていた」という転校生とオーバーラップするという隠し玉も効いています。

 飴屋作品はそういった物語を、「女子高生の存在と会話」を音源とする、一種のノイズオーケストラと捕らえました。延々と続くおしゃべりの騒音は、意識を払ってみれば、そのひとりひとりにストーリーと真剣なコミュニケーションがあるわけで、ここのところ、人間がすべからく持っている"偏見"というものを示唆していきます。このような、飴屋DJの女子高生サンプリングのロングミックス中、観客の目と耳は、ある時は学級委員の女の子にある時は五月蝿いブリッコに焦点を合わせ、ある時は意識がふっ、と離れていきます。

 そこから、観客が何を感じ取るのかは自由。実際に演技者たちは静岡でオーディションされた本当の女子高校生というわけで、その現実と虚構とのあわいを愛でるのも一興でしょうし、私は「十代の女の子の青春の蕩尽」という暑苦しくもムダなエネルギーを目前に、「嗚呼人間、その存在の悲しさよ」なーんていう感傷が心をよぎったりもしました。

 作者の平田さんも飴屋さんも「女子高生の集団」に男性ならではのエロスを感じていることは間違いはなく、女子高生の自然、といっても、彼女たちが無意識にもそのオーダーに抜かりなく答えている、という共犯関係は正直言ってありました。個々の女子高生=ノイズの音色が生音ピアノみたいに善き存在なんですよね。これ、映画の「桜の園」に似ている。

終演後、ホーメイのパフォーマー、山川冬樹さんとも久々の再開。山川冬樹さんに対しても私、ソナートウキョウのパフォーマンスを観て衝撃を受けて、お仕事ナンパをした過去があり、つくづく、美男に弱い私でした。



●3月31日 冨沢ノボル42歳の誕生日にてヘンなボディースーツ

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冨沢ノボル君の誕生日。野宮真貴ちゃん発案にて、この素晴らしいボディースーツを贈答。全く違和感がないのが、怖い。しかし、ノボル氏のお顔は、いつも私に岸田劉生の麗子像とルーブル美術館の書記座像を思い起こさせてくれます。

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2009年5月7日木曜日

三月の活動記録 その1~新井薬師、京都の桜、「TAO老師」、バンドNORCASOLCA



そういうわけで、また、ブログ再開です。
どういうわけ? というのは、スギ花粉がとうとう収まったから、という身体の理由にしておきましょう。そう、それほど今回の花粉症は非道かった。来年は本当にレーザーで鼻の奥を焼き症状を押さえる、という荒療治に手を出すしかないのか・・・・・。
5月の連休とは、一年の最初のすす払いの時期とみたり!そして、昨日美容院に行って、久々に髪をショートにしたこともあり、個人的に新装開店ですな。しかしコレに懲りて、近々、モバイルPCを絶対買うつもり。スキマ時間にやんないと、これ、大変なことになることが判明。
では、失われた二ヶ月のメモリー


●3月1日 新井薬師に着物ショッピングにゴー
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ハーパスバザー編集長(当時)の村田啓子さんと吉村涼子さんとともに、新井薬師恒例の骨董市へ行きました。着物道楽は染めから織りに行くといいますが、本当に自分がいまそうになっているのがおもしろい。業者も買いに来る、という知られざる、着物ファンのメッカです。
成果は上々で結城を2枚ゲット。加えて、別の店にて、目にとまった菊の小皿。ちょっと、アールヌーボ入っている、たまらんこのセットを一万円にて購入。「迷ったら即買い」は、すべての海外旅行買い物フリークの合い言葉ですが、久々にそれが発動しました。東京のクリニャンクール、新井薬師は凄い。


●3月5日 ヤッコさんと表参道ヒルズ
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表参道ヒルズのアニバーサリー。「トラットリア アンド ピッツェリア ザザ」にて、会食。ちょっと遅れていったら、予約のテーブルには高橋靖子さんことヤッコさんの姿が! ご存じ日本におけるスタイリストの草分けかつ近過去の東京の生きた歴史書として燦然と輝く「表参道のヤッコさん」の著者のその日の姿は、とってもカッコイイ不良っぽ~い、スカジャンでした。
 これ、コムデギャルソン謹製。そういえば、ヤッコさんもショートヘア定番。この年代のおしゃれなショートは清冽なセクシーさがありますね。ショートは実はもの凄く色気が出てしまうヘアでもあり、一昨日、ショートにした40代のアタシのそれはちょっと生々しいなと、書きながら今、ここで思った次第。


●3月7日 「TAO老子」に感じる、逆療法としてのシャバ、とか。
 長野県南部・伊那谷に魅せられて移り住み、老子の言葉とタオの思想に取り組んできた、英米文学者・詩人の加島祥造のドキュメンタリー映像誌を金井みはるちゃんのお誘いで、立教大学の新座キャンパスまで観に行きました。
 圧倒的な自然と人の生きる道とのカップリングは最大説得力で心にガンガン染み渡ったのですが、実のところ、一番グッときたのが、ラストにそのカメラが一挙に東京の高層ビル街の間を空撮していくシーン。人間の業(ごう)の集大成である都市のガラスとコンクリートの景観という伊那谷の対極にあるものが、なぜか、もの凄く美しいありようを示してしまうことの皮肉な結果です。
 私も長期入院のベッドから、抜け出してパジャマで六本木夜ドライブに出たことがあるんですが、そこで感じたことは、果たして「街が発するもの凄いエネルギー」だったことを思い出しました。友人の至言に「海とネオンがないと生きられない」というのがありますが、それはかなりの意味で本当だ。シャバの空気って言うのは、それはそれで、やっぱり、尊くて愛しいものなんですよねぇ。 


●3月16日「フリソデお嬢」にて京都出張
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京都を中心とした呉服メーカーが10社集まって、このたび、振袖の専門店を合同主催。その名も「フリソデお嬢」。私はその企画及びブランディング、コミュニケーションなどを依頼されていて、この日はお歴々を前にしてのプレゼン。
 現在、晴れ着としてだけ残っている振袖は、これはある意味、私たち日本人の女が遊べる女装のひとつの完成型です。そう、二十歳の成人式とは、女の子にとって、青春の最も女っぷりが花開く最初のテビュッタントなのです。というわけで、女装女論者である私としては、結構、力の入る仕事といってもいいでしょう。
 親睦会の後、いつものように祇園に飲みに行ったのですが、初めて丸山公園の伝説の桜を観ました。桜守がいるとしうこの木はもはや、妖怪変化のようなヤバいオーラを夜空に放っていました。満開の桜は、生命のほとばしりの象徴ですが、ある意味ちょっと下品なところがある。ちょっと、ファンシーグッズの専門店に入っちゃった感じというか。キティーの大群をディスプレイしたくなる、パステルカラーの大群ではあります。


●3月20日 バンド結成しました! それでもってル・バロンでお披露目。
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飲み屋の与太話が本当になり、バンド結成しました(笑)。
 面子はちょっと凄いよ! ボーカルがこのバンドの言い出しっぺ、ということは実質バンマスである、ポールダンサー界のリヴ・タイラーこと(デビュー当時のモリー・リングウォルドにも似ているね)ノエミ、ギターにバンコクが産んだ奇跡の才能、モモコモーションのMOMOKO、そして、ベースにななんと野宮真貴という陣容。
 で、私のパートはドラム。そう、実は私、高校、大学とかなりマジでバンドをやっていたのでした。学習院の時のバンドは、ヤマハのイーストウェストなどにも出ていまして、16ビート系のアーバンコンテンポラリーな小難しいコトをやっていたりしたんですよ。スティーブ・ガッド、レオン・チャンクラー命、ってやつ。と、まあ、ほとんど二十年以上ぶりにスティックを握ったのですが、最初はだいじょうぶかっというほど、ヤバかった。
 しかし、だんだんと脳の中の昔の配線が繋がっていく感じがあって、練習ごとにリハビリしていくのが分かる。あれだね。数年前に再開したスキーと全く同じ。しかし、年齢とともに耳が肥えているのは事実で、アタマと技のギャップに悩まされましたね。すべてのオヤジバンドの方々の前にはそういう壁が立ちはだかると思うんだが・・・・・。
 本番前二週間に三回の練習は朝九時から午後一時までという強行スケジュール。京都出張帰りから直行したこともあったもんね。加えて、私なんか日曜日、自主連でスタジオ、入っちゃいましたもん。レパートリーはもちろんガールグループのマスト曲ランナウェイズの「チェリーボム」とキンクスの「ユーリアリーガッドミー」。
 フランスの下着メーカーのパーティーだったので、衣装はすべてそこの製品。ワタシのサイズがあったというのもさすがアムールの国フランスですが、ロールのオカズを派手にぶちかますとき、観客の視線が胸に集まっているのが笑えましたな。悩殺爆弾チェリーボム、ってことですかね。
 今後、一ヶ月に一曲ずつレパートリーを増やす所存。フーとかを女バンドでやってもカッコイイかも。しかし、私にキース・ムーンを叩けというのは、植村直巳よりも冒険家な行為のひとつではあります。ちなみにバンド名はNORUKASORCA。のるかそるか、というバンマスの心境を表したのだと思いますが、字面にすると北欧のヘビメタバンドみたいでまあ、いいかな、と。
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2009年2月9日月曜日

明後日、2月11日に世界小料理サミット2009に出演します。



突然のお知らせですが、『世界小料理サミット2009/The World Summit of Ko-ryouri 2009』にパネリストとして出演致します。
今回の肩書きは、“世界の小料理評論家”!!!!!
ご興味のある方は是非、ご来場ください。当日となりで世界料理サミットが開催されているなか、ばかばかしくもこんな素晴らしいイベントに急遽参加できるとあって、光栄です。
「小料理」の奥に広がる「食」の大宇宙!
    料理を作っているのはカリスマシェフばかりじゃない!!
    日本の味、日本の食文化は、「小料理」にこそあり!
    ところで、小料理の「小」っていったい何?!
    もう一つ ところで、「小料理」ってジャパンオリジナル?!
    世界をつなぐ「小料理」ワールド!

日時:2009年2月11日(水・祝) 14:00〜16:30 (開場13時半)
会場:東京国際フォーラム(有楽町) 
    ホールD1(Dブロック1階、有楽町ビックカメラのすぐ向かい側)
定員:100名
会費:5千円(事前振込)
参加方法:下記宛てに「エントリーメール」を!(会費振込口座をお伝えします)
      foodjournalist*gmail.com(*を@に変えてメールして下さい)
      以下の項目を明記の上、エントリーメールをお送りください。
      1. 氏名・職業・会社名(所属・職種)
      2. 当日配布名簿掲載用に簡単なプロフィール50文字程度
        (「食」にまつわる特記事項があればぜひ)
      3. 懇親会の出欠
<パネリスト>
   ★葉石かおり(エッセイスト、利き酒師、料飲専門家団体連合会 関東甲信越支部副支部長)
    *京都先斗町に実在する小料理屋さんを舞台にしたケータイ小説「酒亭 心酔」連載中
   ★ジョセップ・バラオナ・ビニェス(1日1組限定「レ・ストゥディ」オーナーシェフ)
    *スペイン的小料理「タパス」や「ピンチョス」の第一人者、大の小料理屋好き、小笠原伯爵邸元総料理長
   ★湯山玲子(クリエイティブ・ディレクター、世界の小料理評論家)
    *振り袖姿の寿司パフォーマンス「美人寿司」プロジェクト、著書『女装する女』『女ひとり寿司』

主催:世界小料理サミット実行委員会(日本フードジャーナリスト会議)
後援:FOOD ACTION NIPPON
特別協賛:東果大阪株式会社
協賛:日本箸文化協会 株式会社 一品一会 株式会社たむらや 白瀧酒造株式会社 
協力:緑提灯  
懇親会協賛・差し入れ:大歓迎!
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2009年2月6日金曜日

神田昌典さんとトークショー、ジンガロ、坂本龍一さんと寿司、美人寿司インコ



さて、一月後半は、エポックメイキングなイベントが目白押し。「だったら、ブログに早くアップせい」なのですが、ホントに風邪、ひどかったのよ。


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 1月23日は、拙書「女装する女」のトークショー第二弾が日本橋、丸善にておこなわれました。


 ゲストはカリスマ、ビジネスコンサルタントの神田昌典さん。今回の「女装する女」が、氏が2007年に翻訳した「3つの原理—セックス・年齢・社会階層が未来を突き動かす」の内容のある意味、現実化そのものだ、ということで高く評価してくださったことから今回の対談が実現した次第。前回の菊地成孔さんのときとはうってかわって、場所柄、ビジネス寄りの内容で語らせていただきました。


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 まあ、私の本は「女はすでに女ではない」という、ボーボワールの昔からいわれていることの現段階リアル実証なのですが、それでも、まだまだ、女性は社会的弱者であり、これはそう簡単に引き上がることはないぞ、というシビアな実感が私の中には確実にあるんですね。そういう絶望感も本の中には少なからず存在する(と思う)。しかし、神田さんは「そうではない」ということを、日本企業の現在の実体とインターネットを中心としたビジネスの可能性を含め、かつ、ご自身の経営コンサルタントとしてのデーターや知見を織り交ぜてぐいぐい、前向きな希望として語ってくださる。これには、当の著者が勇気づけられましたね。観客席には女性も多く、みな、真剣な目でうなずいていたのが印象的でした。

 
 帰りは日比谷のクニギワ、”ウイッフィー”で、丸山さん、博報堂アーキテクトの大谷社長、経済産業省の滝本さん、新潮社の足立さんとで飲み三昧。結局、最後は足立、滝やん、湯山組でカラオケ。結局、この時の深酒が、風邪にダイレクトに響き、この後数日、地獄の日々をみることになったのでした。




 1月23日、ジンガロの「バトゥータ」のプレビュー公演に行ってきました。


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今回の出し物は、2つのジプシー・バンドの賑やかな音楽をバックに、ジプシー村の花嫁略奪騒動のドタバタを描いた新作。モルドヴァ地方のブラスバンドと、トランシルヴァニア地方のストリングスの2組の楽団が交互に音楽を奏でる中、円形のコースを馬たちがズドドドと翔け、まさに人馬一体となったスペクタクルが繰り広げられます。拙書「クラブカルチャー!」でも、記述しましたが、「生活の中に馬がいる、いない」は、人の身体のリズム感を大きく変えてしまう要素です。同じアジアでも騎馬文化のある韓国は、三拍子系の跳ねるリズムがあったりします。膝を曲げてすり足で田んぼに稲を植えていた日本人の対極とも言える騎馬文化というものをこれだけ、ダイレクトに肉感的に体現させてくれたという意味で、この公演は私にとって、相当、特別な意味を持つものでもありました。


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モレシャンさんに会ったので、そのあたりのことを手短に話しました。「これ、アナタにとっては格別の演目でしょう」と言ったら、笑って大きく頷いていました。このあたり、彼女にとって、ジプシー文化も色濃い、フランス人ならではの感想があるはずで大変に興味深いものがあります。今度会ったときに詳しく聞いてみよっと。

 
 一方、この人馬一体のパフォーマンスは痛みを伴う美しさでもあります。


「馬は一生懸命やっているんだけどさ、それって、馬の一生としては幸せなの?」という人間文化に宿命的に張り付いている原罪が感じられるゆえ、このジンガロという企ては異様に人々の心を打ち、パワフルなんですね。調教ってSMでお馴染みのように、そういった、性関係の支配関係もそこにはうっすらと漂っています。そういえば、我が社の村松君のご両親は馬術部出身者だけに、今年は馬、挑戦してみるかな。
 成山画廊の成山明光君も来ていたので、久々にいっしょにメシ。錦糸町のタイ料理名店「ゲウチャイ」にて、相変わらずの、成山節を堪能しましたぜ。社員の2人が借りてきた猫のようにおとなしいのには笑った。




 1月25日、坂本龍一さんと恵比寿の鮨小野で寿司を食べるの巻。

 
 「女装する女」をたいそう教授が気に入ってくださったということで、坂本さんからメールが入り、「一度、寿司でも」ということで実現したディナー。教授とはバルセロナのミュージックフェス、ソナーで一度、取材でお会いしていまして、その時、ウチの父と芸大作曲科つながりの話が出て盛り上がった経緯があります。(父は池内友二郎門下でフランス系だったのですが、教授はそれを横目でみつつも、ドイツ系にいっちゃったらしい)本当に久々に会話のローリングストーンと話題のグルーヴに思いっきり身を任せられる、壮大な「おしゃべりロングプレイ」(トムトムクラブ似だー)を堪能しました。もう、後半はお酒も回って、なんだか、おばはんがガールズトークをしているみたいでしたね。

 
 語られたネタは、ホストクラブ、ボーボワール、沢尻エリカ、篤姫における宮崎あおい他、バート・バカラック、坂本龍一作「ONGAKU」の美しさ、日本人とアメリカ人、アースダイバー、諏訪神社、グリーンランド、インド、都市のつまらなさ、死生観、大人の自己規制について、男と女、寿司、土佐のカツオ、登山などなど。と、これだけでもワクワクするでしょ。実はこの内容、教授のサイト「コモンズ」にて近々、発表される予定なので、ご期待下さい。  

 

 
 1月30日、美人寿司@コンテムポラリープロダクション新年会に登場の巻

 
なんだか、今年になって各週で寿司を握っている計算になりますな。当日は全国的に雨降りで、こういうときの築地市場は魚の並びが悪いはずなのに、けっこう良いネタが入りました。マグロは味わってみると、血の鉄分が旨味として感じられる良い頃合いのもので切りつけると色のグラデが大変に美しい逸品。カンパチのいいアブラの乗り具合で、コハダの仕込みも今回はバッチリ決まりました。しかし、この仕込み中、私は昼寝した上にネイルサロンに行っちゃったもんで望月、村松からはごうごうの非難の嵐。でもさ、着物着てカツラかぶっての、寿司握り重労働がこれから待っているんだから、大目に見てほしいものだ。
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信藤三雄、もりばやしみほ夫妻宅、コンテムポラリープロダククションは下北沢にある瀟洒な一軒家で、いつも、ミーティングに通されるところがまんま、寿司ルームと化しました。ここはキッチンと直結していて、美人寿司的にははじめてと言っていいほどナイスなロケーション。何が凄いかというと、温かいネタが出せるということ! それを見越して、今回は季節ネタでもある白子を湯通しとソテーの両方で出したのですが、これが旨いのなんのって。DJ時代にピンク・フロイドのアルバムをノンストップでフルオンエアしたことで私個人的にファンの、ニッポン放送元社長、亀淵氏の「んまいッ」というお墨付きもいただきました。思いつきでつくった、イカワタのネギミソ焼きも焼酎派に好評で、まるで、本当の寿司屋みたいだ、と(笑)。
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イラストレーターの平松昭子さん、シンガーのちわきみゆみさんにもお会いできて、大満足。ふたりとも美人。お二人に限らず、この日集結していた女性は全員、完璧に「女装する女」でしたね。それも、ちょっと、ハードコアなタイプの。それは、KIKIの川崎社長、アナタが代表者じゃ。
 それはそうと、さすが、世界のコムテンポラリープロダクション。美人寿司の夜のステキなポスターが当日、お目見え。緋牡丹お龍ですかね。


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2009年2月2日月曜日

岸野雄一、新春大歌舞伎「象引」、日藝授業の九龍ジョーという一月前半日記



気がついてみると、1月はブログを完全休業でした。
 というのはですね。あんなにノリノリだった正月、昇仙峡、弥三郎岳登山のあと一週間目にぎっくり腰、追い打ちをかけるように風邪でもう、仕事をこなすのに精一杯。特に風邪はひどかったですね。もう、咳がけいれんのように繰り出され、苦しいったらなんのって。耳鼻科で咳止めのカフコデを処方してもらったけれど、ほとんど気休め程度。
 ぎっくり腰はいつもの駆け込み寺である、武蔵小山鍼灸接骨院の源先生(天才!)に行ったついでに咳のことを相談したら、「血を取れば一発で治る」っていうんで、手指と胸にシラクというガラスのカップを付けての吸引採血をやったら、黒い血がどばどば。これ、効くんですね。風邪の引きはじめに来てくれたら、もっとラクだったのに、という先生のお言葉。いかに身体関係の駆け込み寺を持っておくか、が、中年からの処世術の根本ではあります。
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 さて、1月の発病直前、11日の夜は、岸野雄一君主催のO-WESTでの「OUTONEDISC PRESENTS「FUCK AND THE TOWN」。
 これ、何と入場料が、客が見おわった後料金を決めるオープンプライス方式。テレビやフリーペーパー、そしてインターネット上の表現をはじめとして、コンテンツが無料で当たり前、という時代に、表現とその対価を意識させる、という岸野君らしい意思表明。内容は素晴らしいもので、「腰は調子悪いし、ちょっと顔出して帰ろうか」なーんて思っていたら、結局、一階のフロアで前から七列目ぐらいにセンターで陣取ってかぶりつき状態。いいDJ時と同様、この立ち位置って好きみたいです。
 
 スタジオボイスの編集者、中矢君に声をかけられ、彼のアナウンスによると、「相対性理論」という次に出てくるバンドが、インディーズながらオリコン・アルバム・チャート25位、タワーレコード・チャートでは1位を記録する人気者らしい。ボーカル(名をやくしまるえつこと言う)はゴスロリ風ファッションの無愛想な不思議ちゃんなのですが、そうするとバックもワンコード、パンクヘタウマ系と思いきや、これがおしゃれで軽やかでなんととってもAORっぽいんでしすよ。
 私は大学時代に車でブライアン・オウガーやスタッフを聞きながら、フューの国分寺ライブなどに通っており、その蝙蝠のようなどっちつかずの嗜好に悩んだものですが、今やそれが何のてらいもなく音楽作りに取り込まれていることに感慨を覚えます。昔は良くも悪くも、かつて音楽は周辺カルチャーと切っても切れない関係だったのですが、もはや、自由にクリエーションの1パーツに成り得るということだよね。「相対性理論」の音楽の不思議な浮遊感とメッセージ性には、やっぱ、彼女のボーカルとそのサウンドね、といったハイブリッドの必然性があったのでしょう。バンドにテクニックがあんまりなくて、音楽に追いついて
いかない感、もまた、いい感じの味になっているんだよなー。
 
 DJの七尾旅人は、初DJなんていってたけれど、意外な拾いもので私は一発でファンになりましたよ。間にトークを入れていく、最近、ちょっと局地的リバイバルを見せている、ディスコスタイルで、次々とマッドなファンクをプレイしていきます。映画「ブルーベルベット」のオカマの暴力歌手、マッドプロフェッサーなんかの世界が好きな人ならば、確実にハマる。こりゃ、図らずもニューヨーク・アンダーグラウンド風味。
 
 岸野さんのWATTS TOWERSは、もう、私にとっての「児童遊園地」。輪郭と精神がはっきりしていて、でも、出てくる乗り物や登場人物はスウィートで楽しく、美しくいというひとつの境地を創り出していますね。最近、とみに子供化している自分、いや、自分だけでない周りの大人たちにとっての「おかあさんといっしょ!」なのだった。なんて言うことを考えていたら、岸野さん、春からNHKの子供番組の音楽をやるそう。やっぱ、最近NHKは良い仕事、しちょります。
 そういえば、くだんのオープンプライスのお値段は、7000円と付けさせていただきました。

 1月14日は、母親と国立劇場で新春大歌舞伎。
 
とはいっても、母親、年始に起こった家の水漏れ大修理で工事立ち会いをしなければならず、欠席。トラで母友人のA夫人登場。織りのキモノ姿がよく似合ってました。見所はなんといっても、団十郎の白血病からの復帰第一作で、歌舞伎十八番の「象引き」。あんまり、上演されない演目ですが、神社の初詣感があるいい演目。「楼門五三の桐」と同じく、一発芸のパワフルで呪術的な魅力に満ちていて、歌舞伎が江戸時代に果たしていたエンターテイメントの特質が理解できる一作でもあります。私も、先代の片岡仁左右衛門が最晩年に演じたそれを今でも脳が忘れていない。そんな、根源的な芸能のかたちがあるのだと思います。
今、お笑い界で頻発している”一発芸”をなぜ、私たちは好むのか、ということのひとつの答えがあるのかも。

 1月17日は、美人寿司インしりあがり寿プレゼンツ(有)さるハゲロックフェス09。
 
 しりあがり寿さんの事務所は毎年、オモロイ忘年会をやっていますが、それが本年はフェスとして、新宿ロフトにお目見え。で、お誘いを受けて、ヨロコンデ、美人寿司参上。いやー、久々の出動、しかも、お腹を空かせたバンド野郎どもが集う、というので、量産体制で築地買い出し。しかし、こんなときに適当なお値段のマグロがなく、ななんと、キロ7千円クラスを買うハメに。今日の客筋から言うと、多分、回転寿司愛好者の若者が多いだけに、もはや「ボランティアでグルメ教育だ」の心意気ですぜ! 
 しりあがりさん周辺のアマバンが集結したというのだけれど、みんな、アイディアがあって面白い。ニューウェーブ体験者は今や立派な中年なわけで、それでも音楽をやり続けていることは素晴らしいことっす。そういえば、野宮真貴嬢とノエミ嬢とチェリーボム・バンドをやるという話が本当にありまして、来年のさるフェスは寿司と同時にバンドで出場要請をしておきました。
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1月20日は日大藝術学部の本年度最後の授業。
  久々のゲストは、ライターの九龍ジョー氏。この方、実は某出版社のプロパー編集者でもあり、彼がかつて編集していた、実話雑誌、マッドマックスに惚れ込んだあまりのご出演要請。このマッドマックス、何が凄いかといえば、「ヤクザの組員が愛人と全裸でスカイダイビング」曰く、空翔る愛(笑)、こんなバカな特集をこれまた、AV界の金満家のお金で実行しちゃうピカレスクぶりが凄い人。彼が編集した雨宮処凛著「生きさせろ!」は、今の派遣問題の世論形成の大元をつくった好著でもあります。学生たちには彼の「世の中に風穴を開けることの深い欲望」がどう伝わったのだろうか? 現代美術家、チンポムの「ピカ」事件についても大いに語っていただきました。
一月前編終わり。
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2009年1月14日水曜日

トウキョウ費用対効果|OPNERS


ウェブマガジン『OPNERS』での連載(2007-2008)

中途半端なお金の使い方は、百害あって一利なし。
いまを生きる私たちにとって、最も費用対効果がおおきいモノやコトを、
消費生活1/3世紀の編集者 湯山玲子が、限りあるおこづかいで、いま考えられるもっとも豊かな体験をご紹介いたします。
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2009年1月6日火曜日

正月は昇仙峡アンド弥三郎岳にてひとりiPod DJ決行!



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これがホントのお目出とう、だ。どうも、フクロウ系だね。


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昇仙峡のシンボル、屹立する覚円峰。日本じゃないみたい。


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こーんな、河原でひとりぼーっと。春は釣り、そして、夏には絶対に泳ぎに来るぜ!


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この富士山を暫くひとりじめしたのであった。


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弥三郎岳頂上の石舞台。

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頂上の道標に100円玉、昭和19年発行を置いてきました。継ぎに行ったときにあったらすごいな。


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湯山イン湯村温泉。掛け流しかつ飲温泉もできる優れ湯。




あけましておめでとうございます。


年明けに何していたかというと、実は山梨の昇仙峡にひとり旅してきたのでした。
怒濤の年末が終わり「ちょっくら海外でも行ってくるか」とHISに駆け込んだのですが、さすがに都合の良い空席は無く、あったとしてもここでこの値段ならばシーズンオフに行く、というパターンばかりで急遽、国内に変更。友人のスビリチュアリストに電話して聞いてみると「とにかく、西に行け」ということで、はじめは出雲大社だったのですが、それこそ、宿がぜーんぜん取れず、日本の桂林と言われる昇仙峡になんとなく決定。
いやー、良かったですよ。昨秋の高尾山行きが妙に面白く、もしかして、登山ってものすごく快楽度の高いパフォーマンスなのではないか、という予感が来ている今日この頃に、まさに決定打が打たれた正月でした。
変化に富んだ奇岩の数々とその間を流れる清流は河原に降りて、ぼーっとしているだけで脳にクリーナーをかけているがごとくの爽快感なのですが、何と言っても、ロープウェーで登った先から20分登山してたどり着ける、弥三郎岳が最高! これ、テッペンに巨大な岩がドドーンと乗っかっていて、そこによじ登っての頂上は四畳半ぐらいの岩場なのですが、快晴の空には富士山がくっきりと見え、周囲に高い山もなく四方ぐるりが一望できるという、いわば六本木ヒルズの展望台状態。
ちょうど富士山側に椅子みたいなくぼみができていまして、そこに腰掛けて、麓で買った甲州ワインをガンガンにたしなみました。この、空に吸い込まれていくような気分は、そういえば、昔、モロッコのワルザザードの砂漠でひとり岩山に登って過ごした時以来だよなあ。もの凄く、気に入ってしまった。高い岩と空、という、なんだかハイトーンな場所がどうもワタシ的にはすごーく気が晴れるみたいですね。今後、ここに何度も来そうな予感。
頂上の近くに小さなほこらがあり、武田信玄軍にも重用された弥三郎という酒の名醸造家が奉られていました。まあ、日頃、お酒にはいろいろとお世話になっているだけに、これもご縁かなと、小さいコップにワインを奉納。
懲りもせず、二日目も弥三郎岳メインでトレッキング。買って知ったる二度目は防寒のフリース系も用意し、今度は日本酒、開運の大吟醸を携えてゴー。長居の覚悟です。
そこでちょっと面白い実験をしました。何かと言えば、「この山頂に一番会う音楽は何か? または、音楽はこの場においてどういう聞こえ方をするのか」という、不肖、私目が『クラブカルチャー!』執筆以降さんざん主張しているポストクラブの「環境と音楽」実験です。もちろん、自然の音もこの山頂には充ち満ちているのですが、それは一日目に充分味わい済み。二回目はどうしても、いろいろと遊びたくなっちゃったんですね。
さて、結果は次の通り。
●ショパン/ ピアノコンチェルトN02 Fminer op21
これがベストワン! ショパンと言うと「雨音はショパンの調べ」だとか、ジョルジュ・サンドとかの恋愛沙汰でどうしても、映画のお気軽なサウンドトラックのイメージがあるのですが、この人の音楽には、これっぽっちも大衆的なところには無いことを確信しました。ピアノトリルが昼間の三日月に向けて空気の中登っていくという冒頭のワンメロですでに気絶しそうになり、それが、終曲まで続く。今後、この作家を紋切り型に感情やヒューマニズムでとらえると大間違いする、と思った次第。
●FOOG/ONE
エレクトロの中ではコレが一番。天に向かうベクトルよりも、重力を感じさせるソニックと音作り。さすが、岩山ってことですね。電子音とはもの凄く相性が良いようです。以前、夏のクラブフェスでこともあろうに富士山の神秘的な夜明けに「未知との遭遇」のにサントラをリミックスしてかけたバカDJがいて、とたんに富士山がペラッペラの銭湯の書き割りになってしまうという苦い経験があったのですが、これはそんなことはつゆほども感じさせない、自然のパワーに匹敵する音作りといえましょう。優秀。
●テイトウワ/Future listining
もの凄く好きな曲なのに、残念ながら弥三郎岳山頂には合わず。
●Christian Vogel/La Isla Piscola
コレも絶対合うと思ったエレクトロの才人もあんまりしっくり来ない。テイトウワとともに海系かも。地中海のグリーンの海の方がなんだか似合いそうなんですよ。シンガポールのセントーサで聞いた時は妖怪っぽくて良かっただけに、南方系かも。
●ぺぺ・トルメント・アスカラール/バターフィールド8
これも合ってましたね。とろけるようなストリングスの昇天感はむろん、実は意外にも菊地成孔の高速サックスと金属的な響きがもの凄く山のエネルギーとフィットする。思えばジャズを育てたニューヨークも岩盤の上にたつ都市だし、岩山も摩天楼だと言えないこともない。都会という形容詞を外しても、ジャズ、全然、イケルじゃないですか。キース・ジャレットアプローチじゃなくとも。
●Tamba4/We and sea
ブラジル出自のボサノバのハードコアはどうかな、と思いきや、コレも案外と合いましたね。そういえばリオデジャネイロも岩盤都市です。
●ダイアナ・ロスとシューブリームス/Aint no Mountain higj Enough
ワタシの葬式に絶対かけてもらいたい一曲は、もう歌詞からして山系ですが(笑)、山のてっぺんで聞くと小躍りしたくなるほどエネルギッシュで快楽的。実際に小踊りました。これと、同類項はアンルイスの「恋のブギウギトレイン」。双方とも歌い手はパワフルな女声。山の神っていうぐらいだから、女の声は山のパワーと相性が良いのかしらん。
●バッハ /ゴールドベルグ変奏曲 グレン・グールド
山じゃない。強いて言えばどこでもない。ベッドのフトンの中。もしくは、一流寿司やフランス料理を食べているときの微分積分の舌とともに。
●フォーレ/ レクイエム
あのとろけるような旋律が山の冷徹な空気に合わないのではという心配がありましたが、そんなヤワな曲じゃなかった。やはり空、天上に向かうベクトルは健在。この曲が持つ底知れない美しさと力は頂上から見える現実の世界すべてを祝福するようです。やっぱり、凄い曲。
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