爆クラ!のゲスト登場から2週間とちょっと。あの時、彼と語り尽くした、「バーンスタイン楽曲におけるグルーヴィー問題」。この間のジルベスターコンサート、inベルリンで、ダメダメだったサイモン・ラトル×ベルリンフィルの「On the town」、ディーヴァ、キリ・テ・カナワのピントが外れた唱法など、「もしかしたら、バーンスタインの交響曲を演奏できるセンスというものは、現存するオケや演奏者側にはないのではないか?! 」ぐらいのシビアな問いかけをしただけに、今回、相当ハラハラして出かけたのでずか、いやー、全然オッケー!!!
そりゃ、ドラムのハイハットの4ビートなんかを聴くと、菊地成孔んとこの本田珠也だったら・・・・、などど細かいヤツはいろいろとあったのですが、ドゥダメルの若人オケたちの名演奏がある「マンボ」は切れ味良く、腰に来るグルグルのバックビート感への挑戦が感じられましたよ。
アフターバーティーにも出席したのですが、私を見つけるなり駆け寄ってきてくれて、「オレの゛グルーヴどうだった?! かなり意識してやったんだけどさ〜」といの一番に言ってくれました。N響の方に話を聞くと、特に「マンボ」は何度も練習を重ねて「グルーヴィー」を追求していたらしいのです。ちょっとは、爆クラ! での会話が役に立ったみたいで、嬉しいことこの上なし。
しかし、私的に印象的だったのは、二拍三連バシバシのグルーヴィー・ハイな曲よりも、「Tonight」や最終章の「Somewhere」などの歌のバックのオーケストレーションの非凡な美しさの方だったですね。「Tonight」では、パーヴォ氏、コントラバスにていねいな指示を出していたのに、ちょっと感動。そう、あの流麗なメロディーをぐいっと締めていくのに、ベースは極めて重要なんですよ。
結論としましては、バーンスタイン、作曲家としてとてつもない!!! あの数々の美メロに、セリー系の不協和音がさりげなく絡んで、空間を制していくセンスなどは、サントラでは把握できていなかったところで、それが今回、パーヴォのていねいな音像づくりにより顕在化したのでありました。
歌手も素晴らしかった。特にアニタ役の、アマンダ・リン・ボトムスは、本当に魅惑の声。でもって、ブルース唱法とクラシック唱法の間に見事にブリッジをかけてくる。パーブラ・ストライサンドもこれ系が上手いんですが、アメリカ人の歌手はこのあたり、自由自在テクニシャンすぎ。マリア役のジュリア・ブロックは、歌も素晴らしいのですが、レチタティーヴォにあたる語りの演技が抜群。
最後に残念な点をひとつ。日本人の歌手達の衣装とヘアメイクのルックスが残念すぎましたね。マリア役のジュリアなんかは、クラシックの演奏会というドレスコードを守りながらも、オスカー・デ・ラ・レンタ風のブリントドレスでプエルトリカンの娘のイメージを、きちんと視覚的に打ち出してきているのに、それを取り巻く日本の女性歌手の衣装はレースびらびらでどこの19世紀ですか、というトンチンカンぶり。ヘアもその辺の女子大生みたいだし。演奏する音楽(もちろんバーンスタインのウェストサイドストーリー)が持っている世界観に対して「真面目ではないんだなあ」と思った次第。
写真は、アニタ役の、アマンダ・リン・ボトムス嬢。バーヴォも「彼女はこれからクル!」って言ってましたぜ。




