食文化を歴史性を重んじ限定的にとらえるのか、未熟でも社会との接点、未来のパースペクティヴに重点を置くのかで、当然意見は分かれまして、もちろんわたくしは後者。批評関係が共有する文化の進歩史観だと、それが当然なのですが、確かに前者の意義もあるわな、と思った次第。ちなみに、美食ワールドはクラシック音楽ととーっても似ている。良い意味でも、悪い意味でも!
さてさて、アフターの懇親会は、シャンパーニュ地方の名店「レ クレイエール」でシェフを務めたティエリー・ヴォワザンが腕を振るう、帝国ホテルの<レ・セゾン>にロックオン。
で、委員メンバーでもある鹿島茂さんと久々におしゃべり。そういえば、鹿島さん、エマニュエル・トッドの紹介新書もある方で、その話があらためて面白かった。今ここにある世界事情と日本人の傾向を読み解くひとつのルーラーを示したトッドの「家族形態」分析ですが、そのキモは遺産分配(相続が兄弟間で平等か不平等か)と女性教育の積極性。「長男のヨメの教育熱心さ」とこれ日本の特出した個性でして、このキーワード、今執筆中のおひとりさま本の隠れ指針になるなあ、と。
お料理につきましては、粘っこくハードな触感に予想外の鰹節風味がクリームと相まって口腔を襲うジュレと、うなぎの蒲焼きにインスパイヤされたであろう舌平目のソテーが印象的。この舌平目、付け合わせに小さいニンジンがついているのですが、その味が視覚のサイズを大きく逸脱して莫大。イメージの転倒を仕掛けているわけです。
出席者は、辻調理師グルーブの校長、辻芳樹さんをはじめ、国立民族学博物館名誉教授の石毛直道さん、元文藝春秋編集者の西山嘉樹さん、フードコラムニストの門上 武司さんと鹿島茂さん。





