久々に一冊に一日潰した、劉慈欣の『三体』(以降、ちょいネタバレあり)。SFあるあるの地球外生命体コンタクトものなのですが、地球側のファースト発信者が人類に心底絶望していたら、どうなるのか、という、ベースアイディアが、知識人や文化遺産を破壊し尽くした中国の文化大革命や、「三体」という名のシュミレーションゲーム(ここで繰り返される、救済の望みと破滅のシナリオがすんごく面白い)などの豊かな伏線と設定によって、「人間とはなんぞや」の大テーマまで肉薄するオモロ大作。
あと、重要なのが、この作品の通奏低音に、エコロジー(人間が地球にとって一番迷惑、を含めて)と、システムからの(人間の)疎外、という現在、日本だけでなく世界を悩ませる大問題がどーん、と効いていること。ここんとこが、近年、中二病やオタクに流れがちなこのジャンル(マンガ含む)としては出色。
圧倒的なスケール感と、「うーん、ここんとこ、ちょっと跳躍しすぎだろ」という懸念を物語の面白さが吹っ飛ばす、いやー、やっぱ、これがSFっすよ。(小中学生の時にSFを食らった世代なのじゃ)
全編、物理学、天文学の膨大な知識のシャワーなんですが、中でもナノテクに驚愕。キーワードは「陽子」。あーっ、もっと書きたいんですが、ネタバレなのでやめとく。ちなみに、今回の作品には、近頃流行の多元宇宙は出て来ません。
そういえば、わたくし、高校の時、地学で100点とったことがあったんですよ。もともと、算数が苦手なのですが、当時、物理も無理なく高得点をたたき出していて、担当の先生から、「あれ、湯山って理科系じゃないの」といわれる不思議な現象が起こっていました。その反面、化学がダメダメでこのデコボコ感はいったい何だったろう、と。
もとい、本作はすでに映画化が決定しているらしいですが、どうせ冒険するならば、キムギドクとか北野武監督に、やっていただきたいものだよ。登場人物達全員にある「悪とリアル」の感触がキモだと思うんですわ。「利口」な悪である主人公の母親への筆致だったり、サイテーな俗物警官の現実的知性だったり、萩尾望都並みの人物描写も魅力っす。
でもって、この選曲。
吉田拓郎「人間なんてららら」
https://www.youtube.com/watch?v=RPV_TOHkPz0
2019年9月23日月曜日



