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2008年12月26日金曜日

『女装する女』菊地成孔とのトークショーご報告



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 本題に入る前に、ななんと、先週末の土曜日に『女装する女』アマゾンのベストセラーカウントで一位! を記録しました。めでたい!


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 先の20日、「女装する女」の出版記念トークショーが青山ブックセンター本店で行われました。ゲストはお馴染み菊地成孔さん。11月に彼のオーチャードホールでのコンサートのプレイベントのトークショーにお呼ばれしたものの続編、という作戦。
 
 そうなの。前回、菊地さんがお題として用意していた『セックスアンドシティー』について、私が脱線ばかりしたもんだから、語りきれなかったところを、まあ、文化系セックスアンドシティー本である「女装する女」を巡って語り尽くそうかな、というプランでした。
 でもまあ、プランというものは容易く、現実が裏切るわけで、なんと、この時、菊地さん、「ジ・アウトサイダー」というディファ有明でシロウトの喧嘩野郎たちが戦うという格闘技興業を見てきた直後。話は”女”っちゅーよりも、ひたすら、ヤンキー、不良論。
 アフォリズム的とさえ言える名フレーズ師の彼によって私は今までに、「湯山さんは勝新似ている」など、周囲の人間が笑い転げるような形容で語られていますが、今回のも鋭かった。「湯山さんは毒舌だけど、その毒は吐いたそばからお菓子になっちゃう」ですと!
 私自身は本当に悪口が大好きでプラス日常的に何かに怒っているので、昨今、それを反省していたのですが、なーんだ、お菓子ならばどんどん言っちゃえ、って感じです。しかし、これは文章表現者としては痛し痒しなんですね。そのことが、独特の文章芸として魅力的にもなるのだろうけど、人を心底突き刺すような激しい表現には成り得ない、という限界説も臭ってくる。

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 でも、まあ、そうだろうね。私のi-podの音楽ラインナップもそういえば、見事にお菓子っぽいんですよ。現在、ヘビロテのフォーレのレクイエムなんて、鎮魂歌=レクイエムなのにデートミュージックみたいにスィートでロマンチックだもの。虎屋の羊羹「夜の梅」だもの。
 菊地さんは、「湯山さんはお嬢様だから」説を一貫して主張しており、「ゆえに、ヤンキーではない」と言い続けているのです。私はそれを否定はしませんが、本当のところは、心の中にはヤンキーを一匹、生息させています。そうじゃなかったら、何で小学校六年で吉祥寺のシェーキーズに通い、アメリカンスクールの悪い不良たち見学に血道を上げたり、長じて、ツッパリのお姉さんにロンタイとアミサン借りて新宿のディスコに踊りに行ったりしますかいな。
 不肖、私、十代の時分から、「流行のファッション風俗」は、すべて着たおしてきた女であり、フィフティーズ、リセ、サーファー、ニュートラ、ニューウェーブというトライブを紙袋に着替えを入れて、その都度、トライブのただ中を体現してきた女。ということは、もし、私が若かったら、絶対にギャルはやっていますな。ギャルは私にとって「解らない」ものではなく、かつての身体感覚
から「容易に理解できる」ものでもあります。
 菊地さんからの書評として「<差別と嘲笑を糧に発展を遂げた80年代カルチャー>の、差別と嘲笑抜きの、ピースでハッピーな再浮上である」とのお褒めのお言葉をいただきました。
 うーん、これもお菓子説と同様、私がどうしても体現してしまう、肯定感と明るさのことを述べていますね。「湯山さんを見ていると元気が出ます」という人は大変に多いが、この本の感想を述べてくれる女子たちも「本を読んで元気になった」という人が大変に多いのです。
 私は音楽でいうと、「人生応援歌」が死ぬほど嫌いで、ゆえにそういう出自があるヒップホップもどうでもいい方なのですが、まんま、やってることはソレじゃん、というアンビバレンツ。
 人生、複雑ですな。

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2008年12月20日土曜日

新潮新書から『女装する女』が出ました!



三冊目になる著作『女装する女』が新潮社より新著の形で出版されました。
 ななんと、さっきアマゾンのランキングを見たら、五位に上がっていてびっくり! 売り上げ初日の初動がいい、と聞いていたし、今日、取材で会った編集者が「朝、平積みになってたのが、夕方にはざっくり減っていた」という証言有りだったのですが、コレはちょっと嬉しすぎる数字です。
 寿司、クラブカルチャーときて、今度のテーマは女。マニアの世界からとうとう本丸攻め、という感じなのですが、スタジオボイス誌でも「女はつらいよ!」っていう女ネタ、やっていたし、アンアン誌にエッセイを載せてもらってたりしたり、で、わりとお声掛かりが多いジャンルだったんですね。
 一年半ばかり前、博報堂アーキテクトの社長、大谷研一氏から、「現在の女性のインサイト欲求」を浮き彫りにして、コンテンツ開発に役立てたい、というお話しを受けたのが執筆のきっかけ。考えてみればこの夏は休みをとらず、土日はこもって執筆地獄。ホント、楽しみは風呂だけだったもの。ラッキーにも編集者のご厚意により、あの開高健や野坂昭如もカンヅメになったという別館で泊まり込みでガッツリ書かせてもらいました。文豪の霊が出る、との噂の館でしたが、寝ているウチに文豪が一章ぐらいゴーストで書いてくれないかな、と妄想していましたけどね。
 本の内容は、現代に生きる女性を10の傾向に分類して論考、というもの。
 どんな女が登場するのか、と、内容の一部抜粋は以下の通り。
●女装する女
売り上げのノルマや人間関係にアップアップするのが男女平等の仕事のリアルだとすると、女性はその機能と能率の仕事ワールドに、ネイルや下着などの肉体に即した治外法権な"遊び"が許されているのだ。仕事に打ち込みキーボードを打ちまくる手の先には、仕事とは全く関係のないムダな蕩尽としてのネイルがある。このゆとりの有る無しは、ストレス社会においては大きい。
●スピリチュアルな女
買い物症候群の女たちがいる。その理由は、たんにモノが欲しいという段階ではなく、その買い物の時間だけ、見ず知らずの店員にかしずかれる消費の女王になれるという一種の快楽中毒者だ。占いにハマる女子もそれと似ているところがある。「自分のことだけが100パーセント話題になり話され、他人が自分のことだけを考えてくれる占い時間」というものは、甘い蜜の味でもある。
●和風
昨今の和モノ嗜好の中には、セクシュアルな要素も潜んでいる。
一般的に活動的で外向的な洋に対して、和はおしとやか、静的というイメージがある。あけっぴろげに対してのチラリズムというか、いくら、幸田來未が全裸に近いコスチュームでセクシーを唱えても、陰影礼賛な和的セックス感は女性の心の中に綿々と続いているといってよい。
●ノスタルジー・ニッポンに遊ぶ女
現在でいえば、たけし軍団、みうらじゅん、リリーフランキー周辺など文化系男サークルの活動場所と、昭和居酒屋は大変に相性が良い。そのお仲間に入れてもらうことは、実は女性にとって未だに特権的な価値。昭和酒場には仕事の憂さを安価に晴らすオヤジ化した女子の場であることの一方で、最後に残った男のイバリを愛でる、という古典的な女の子視線も絡んでくる、というわけだ。
●ロハス、エコ女
 今、時代は「働きながら子供を産み育て、なおかつ一生モノの誇りある仕事を続けて裕福」という女性像が理想である。ロハス、エコアイデンティティーは、「こんなんだったら、仕事止めなきゃよかった」、「あの時分の世間の空気に負けて、今は有職女性に対して鬱々としたものを抱えている」専業主婦のコンプレックスを一気に吹き飛ばし、時代の追い風もあり、優位にさえ立て、誰からも後ろ指を指されない最強の居場所なのだ。
●デイリー・エクササイズの女
 何の予定も入っていない週末、テレビを付けっぱなしでダラ見して冷凍ピザかなんかでお腹を満たして、ソファからトイレ以外動かないことが丸二日続く。脳の意識だけは限りなく拡大して、自分の身体を忘れ去ってしまうような事態にすぐ陥ってしまう。そうなってしまうことの根源的な恐怖が私たちをしてジョギングシューズを履かせ、また、ヨガに走らせるのだ。 
●大人の女になりたい女
 ロールモデルが無いゆえにイメージだけの小林麻美的な「大人の女」しか持ち得なかった時代に比べ、現在はやっと様々な実例が揃ってきたがそのモデルにはかつての反作用か、相当に本物感が求められている。どういう事かというと、40、50は洟垂れ小僧であり、一気に70歳代以上、老婆と言われる年齢の女性にが次々とスポットライトが当たっているのである。
●表現する女
 ベリーダンスは上達すると、レストランにて踊る"営業"の機会が他のダンスに比べて多く、会社生活とこれを両立させている女性も少なくない。上司や同僚もそれを知っていて、彼女のパフォーマンスを見にやってくるというのだが、会社では淡々と伝票処理を行っている地味めな部下が、突如として腰をグラインドさせてハーレムの女ヒョウに変貌するのを、彼らはどうやって理解&了解しているのか、心中察するにあまりある。
●子供化する女
 バーベキュー、キャンプ、海、山遊び、アイスショーやサーカスなどのエンターテイメント、地域の行事や祭り、などなど、これみんな子供をダシにしなければ大人が無邪気には楽しめない事柄だ。恋愛もセックスもギャンブルも、大人の快楽特権が「実はそんなにオモロイものでもなかった」ということがバレバレになった今、最後に残った最大消費タームは、子供とともに子供の時間を取り戻す楽しさなのであった。
●バーター親孝行な女
現在は努めて子から親に親孝行というコミュニケーションやプレゼンテーションをしなければ、つながりを確認できないという不安がある。お笑い芸人、麒麟の田村裕の手になる『ホームレス中学生』には困窮した父から、「家族解散」を言い渡される彼自身と兄弟の姿が描かれているが、それがあり得ないことではない、ということを皆、無意識に感じているからこそ、熱のある親孝行モードが立ち上がるというわけだ。
ふ~。
まあ、本の方はこれの百倍の実例ネタと考察が入っていますので、新書700円の価値は大いにあると思いますので、皆様、このお正月休みの景気づけにどーぞ一冊お買い求め下さい。
そして、発売日の当日、丸の内カフェで今、注目の女性誌編集者お三方を招いてのトークショー+丸の内倶楽部21号館にて出版記念会を行いました。会の方はあまりキャパの無い会場だったので、逆に普段、近しくツーカーな方々というよりも、女性誌をはじめとしてメディア、代理店関係者などのマスコミ中心になってしまい、お声をかけられなかった方々ごめんなさい。
どんな様子かというのは以下の通り。
それにしても、この12月はハードすぎました。
明日、というか今日の17:30からは、青山ブックセンター本店にて菊地成孔氏をお迎えしてのトークショーです。
ご興味のある方はぜひお運び下さい。
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左から、湯山、アンアン編集部、横山佐知さん、グラマー準備室編集長、軍地彩弓さん、
マリークレール編集部、高山祐美子さん。

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客席にはカリアングの森本容子さんもいらしていました。バックレスのドレスで、バッチリ女装、だったなあ。

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DJおよび、美人寿司ティガとして今回フォアグラ、およびトリュフ載せ寿司を作ってきていただいた寺本りえ子さん。
ワタシの美人寿司は屋号だが、これは本当の美人だ。


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美人寿司ティガこと寺本りえ子作、湯山の顔寿司!カワユイ。 


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しりあがり寿さんの挿絵を展示。 



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司会の関智氏。KKベストセラーズでなんと、このたび、谷村新司に小説「昴」を書かせた辣腕編集者。
その発表会、凄かったっす。近々、ご報告アップなり。



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担当編集者の足立真穂さん。ブラッシュアップ、および校正時における的確な指示はものすごーく、助けられました。
大音量の美声にて淡々と業務書連絡、諸問題を解決するスゴ腕だ。



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博報堂アーキテクト社長、大谷研一氏。出版のきっかけを作ってくださった。 



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乾杯の御発声は、丸山泰通氏。いつもお世話になっております。 



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左から野宮真貴嬢、ワタシ、グッチの静川ちゃん、NOEMIちゃん。女装しがちな女たち。 


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もりばやしみほさん。二月に一緒に中国、いくかも。


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来年夏に発刊予定、「GRAMOUR」の編集長、軍地ちゃん、
日本で唯一のパーティーライターでもある、岡田ちゃん(ダイエットに成功し続けているのが凄い)、ハーパスバザー誌の吉村ちゃん。

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エントランスが似合う男、冨沢ノボル。
手にしているのは、彼の手になる、例の「COVER」誌の湯山女装グラビア。


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2008年12月11日木曜日

菊地成孔 ダブセクステットとマンダリンオリエンタル「SENSE」と須永辰緒



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マンダリンオリエンタルホテル内の「SENSE」の逸品「子豚入り香港バーベキュー」




 先の週末、金曜日は一年ぶりの東急文化村での菊地成孔公演。
 一日目はダブ・セクステッド。私はこのバンド、結成から各ライブ欠かさず見ているのですが、そのたびに進化しています。特に前回から、パードン木村の躍進が凄い。このジャズバンドの同時代性は何と言っても、その名の通り「ライブ音を瞬時に、ミキシングエフェクトをかけてお届けする」特殊加工性、制御 &変容感覚というもので、楽器を演奏しないだけに多分、ひとりだけジャズの身体性を持ち得ていなかったパードン氏が、天恵のごとく役どころを認識したのが前回。そして、今回はさらにその領域を広げていて、たとえば、ウォッシュタイプのチーズが腐りかけにガーンと旨味が増す時期があるのですが、そんな発酵菌の親玉みたいな役割を果たしていましたね。ただし、そのダブ風味の中に菊地さんのサックスや類家君のミュート・トランペットが逆に”生一本”で味わいを立たせているところがイイ!要するにチーズのミルクの本来の味ね。その場合、ダブの発酵菌側には本多珠也の熱やベースの鈴木氏のかき回しやビアノの坪口氏の塩旨味などの強者たちが固めている、という具合。ドラッグ&アナザーワールド感覚は、建築からアート、音楽に至るまで現代の先端表現に欠かせないものですが、ということで、ダブ・セクステッドのそれは、ケミカルでなくて、発酵物である酒。それも各年度のヴィンテージを絶妙なブレンドで配置するシャンパンだねぇ。案外、酔いが深くて長引くのも似ている。
 アンコールの「Dub Sorcerer」はダンサブルでヒップなベストチューンですが、私、贔屓の珠也様のドラムの暴れっぷりが猛烈にカッコ良かった。暴れても暴れても、シルキーな優雅な感触が残るのがこの人の良いところですが、さすがにツェッペリンのジョン・ボーナム好きの面目躍如です。それで切に思ったんだが、ここにギターがあればな、と! こういうサウンドをこなせるのは、ジェフ・ベックですが、ジミヘンでもいいかも。ちょっと、パードン氏がそれっぽいディストーション音色を入れてきて、それが超ヤバかったから、ゆえの感想です。
 その数日前、私は当の菊地成孔氏とディナーをしておりました。
 腐りかけ手前の発酵チーズが出てくるフレンチではなく、中華料理。ミシュランで一つ星を取った、マンダリンオリエンタルホテル内の「SENSE」です。ここに来るのは二度目ですが、一度目の時の客層の「あまりにもオモシロイ、ニッポン富裕層のリアル・バリエーションぶり」にとにかくハマったのですが、ここ、メニューの組み立てが絶妙で、「ヒトが今、高級中華に求めるもの」が厳選されて入っている気がしたものです。
 菊地氏がハマっているのは、鳩のローストと前菜の香港バーベキューだということでしたが、これらは見事でしたねー。特に鳩のローストは鳩の血合いの部分の何とも言えない野性味が表の味付けと呼応してまるで、こういう「極楽の果実」が存在するがごとくの単純明快な美味。「バラの香りの上湯ゼリー載せ地鶏の冷製」はモダン中華の典型のような一皿で、コレは自宅でもトライできそうです。ゼリーとあんかけは家庭料理に導入するととたんにプロっぽくなるのだ。紹興酒は20年ものをぐいぐい二本も開けたら、あとで一本25000円と聞いてのけぞっていまいました。確かにウマいが、何か腑に落ちないのはそれが紹興酒、だからなのか・・・・。
 帰りは<ベロア>の須永辰緒さんのパーティーに野宮嬢と顔を出しまして、ジャズな日々はひとまず終わりを告げたのでした。
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問題の「ハトの丸揚げスパイス風味」
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自宅でもコレ使える「バラの香りの上湯ゼリーのせ地鶏の冷製」


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須永御大と。
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2008年12月2日火曜日

蜷川実花、マルチ・ギゼ、ミシュラン記者発表、fancy him、仮面舞踏会、三軒茶屋「オスカー」そして「テラ」



ふ~。11月のフォト日記ざます。各種行事からセレクトしました。
それにしても、よくちょこちょこと出かけてますな。
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10月31日

蜷川実花展

とにかく、プリントがキレイだったですね。スタイルを毅然と持ち続けることは、この表現多様化時代に置いて、いっそ、尊いし剛力。私もケイタマルヤマのプリントシャツ(実はパジャマの上)にて、会場に花を添えてみました。蜷川さんのドレスはプッチですかね。


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マルチ・ギゼと倉成英俊~デザイナーズ・ウィーク@クラスカ

敬愛するバルセロナのアーティスト、マルチ・ギゼ(写真左から二番目)が今年もデザイナーズ・ウィークにやってきました。そこにいわゆる丁稚奉公していた倉成君(右から二番目)とともに。今回の彼の作品は、照明器具をSMの縄師のロープ結びでつったもの。たとえ、縛る対象がそのへんのテキトーなランプでも、結び目に異様な情感がこもるのが、超カッコよかった。黒いユーモアもあるわな。倉成君の「自分の誕生日の日めくりを注文する」企ては、コンセプト勝ち。別役実の作品みたい。この人の作品は演劇的でもあります。


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11月4日

ハギエノ合同出版記念会@スーパーデラックス

榎本了壱さんと萩原朔美さんの著作の合同出版記念会は、ほとんど、寺山修司の天井桟敷関係者の集会となっておりました。もちろん、私は小学生からのテラヤマ少女。渋谷からバスに乗ると奇っ怪な天井桟敷のアトリエが見えて、子供心にワクワクしものでした。テラヤマワールドに欠かせない、憧れの女優、蘭妖子さんと記念撮影。とにかく、この方の声が凄いのよ。この時は詩を朗読なさったのだが、たとえば、レーモン・ルセールとか、一転して泉鏡花なんかをぜひ、この人の声で聞いてみたいのですが。


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11月6日

マルチ・ギゼと飲み会@神田「玄気」

マルチが明日帰っちゃうので、飲み会。去年は恵比寿の寿司「松栄」だったが、今回は変化球を出してみました。一軒家改造系の中ではダントツにお気に入りの「玄気」へ。いかんせん、二日前に「天井桟敷」だったもんですから、気分は青森のお納戸っぽいところで酒が飲みたかったわけです。女性はバートナーのインガ。マルチのコンセプチュアルサイドを受け持つスゴ腕。縛りテーマならば、みやげは緊縛SM系のAVかな、とは思ったのですが、そこまでの深掘りかどうかは不明たったので、アラーキーの写真集を献上。アチラでは高価らしく、すごーく喜んでくれました。しかし、ここの焼酎ラインナップは凄い。しかし、倉成君はソフトボールの上野投手に似てるよね。


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11月11日

今一緒に仕事をしているデザイナー集団レジーナの綱島君(左)と我が社の村松君。ななんと、この日ふたりは初対面なのに、アレキサンダー・リー・チャンの同じ緑の服を着て現れたんですよ。それどころか、もうひとりの松浦君と村松の写真家、兄が、けっこう仲の良い友達同士だということも判明。こりゃ、前世でなんか関係あるな。多分、全員アライグマの兄弟だったはずだ。


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11月18日

ミシュラン2009記者発表@表参道ヒルズ

行ってきましたよ! 去年は「カンテサンス」三つ星でご満悦でしたが、今年は贔屓の「海味」が二つ星獲得で、案外ミシュランと気が合う私。その派手でエネルギッシュなたたずまいから、どうもグルメ関係者の間で取りざたされないのですが、味や流れは豊かかつ繊細、そして、魚の味を多様に引き出すよろこびがあって、私はかねてから一票だったのでコレは嬉しかったですね。快楽系や派手系だととたんに評価が低くなるのは、クラブカルチャー系に限らずニッポンの評論作法ですので、それをぶちやぶってくれたかな、と。そのあたりは、『アエラ』のコメントで触れさせていただきました。


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11月22日

fancy himパーティー@非常階段

話題のパーティーに、野宮真貴センセイブッキングのご贔屓、モモコモーションが出るというので、行ってきました。いやー、このクラブ。エントランスの感じだとか、ほとんど、ニューヨークかロンドンの小箱みたいで超格好良し。パーティーに来ている客もハイプで今、一番オモシロイ場所なんじゃないでしょうか。

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11月23日

仮面舞踏会@センチュリーコート丸の内

マラヤン・ベジョスキーを迎え、意気軒昂のドレスキャンプのモデル美女たちが侍る仮面舞踏会。高校生の時、フィレンツェで買った仮面がこんな時に役に立つとは! (しかし、ほとんど大型のオウムですな)横の美女は、アクセサリーデザイナーのヨシコ・クリエーションのヨシコ氏。仮面なので挨拶されてもわからなかったら、耳元で「ヨ・シ・コだよ!」とハスキー声でささやかれまして、そのあまりの色っぽさに腰がヌケた私。下の写真はもちろん、野宮真貴嬢とヴィヴィアン。ちなみに、今宵のドレステーマは、皇女アナスタシアざます。今、文庫化された佐藤優の「国家の罠 ~外務省のラスプーチン呼ばれて」を読んでいるので、断然、ソビエトモードなのじゃ。


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11月26日

三軒茶屋「オスカー」~「テラ」の地獄行き

私が敬愛する写真家、梅川義満とヘアメイクの富沢ノボルが、スタジオボイスでファッションページをやって、どうやら、仲良くなったらしい。それでもって企画された飲み会がこれざます。三茶の住人、ノボル氏が連れて行ってくれたのは、「オスカー」という端正かつ昭和にワープだ~系のバー。左下に見えるのはグラスを重ねて、水とウィスキーを対流させるマジック。そういえば、昔のバーではよくこういう趣向がありましたよね。私、子供の頃の記憶に父親のご相伴で行ったバーで、そんなような記憶があります。エントランスでノボル氏のコートを着ていただいて、フォトセッション。上品かつ遊び心があるマスターでありました。その後、久しぶりの「テラ」。途中からデザイナーの松本弦人も加わって、そうなると阿鼻叫喚。弦人とチークを踊っている横では、梅川がクダをまいていたり、ノボルはダンサー美女ふたりを侍らせて、盛り上がってたり・・・。でもですね。結局最後までいたのはこのアタシだったのだ。途中から、湯山、自らi phoneに入れた楽曲をDJしまくり、店主のコウさんとFM東京のヒトと3人で、まるで学生時の部室のごとくの品評会状態になってしまったのでした。今まで気がつかなかったのですが、この「テラ」、ワンスピーカーなのに、凄くいい音が出ている。特にアコースティックが最高。さすがコウさん、理科系! 家に着いたのはそれでもって朝の七時。ホントに、なにやってんだか・・・・。


ちなみにこの夜のベストは、Jeff Beckの「wired」から「Play with me」でした。このアルバムは高校生の時、オンタイムで聞いて、ものすごくヘビロテしたものですが、ハービー・ハンコックのシンセの音色が、青空のアシッド、というぐらいに異様に強烈に美しいんですよ。絵の具になめるとヤバイ、銅の青がありますが、そんな感じ。アシッドっぽい音楽はそれこそクラブ系にたくさんあるのですが、彼のこの曲の音色とフレーズのようなアナザーワールド感とは違う肌合いなんですね。
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2008年11月12日水曜日

菊地成孔のナイト・ダイアローグ・ウィズにご出演の巻なり



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『菊地成孔コンサート2008』スペシャルトーク
<菊地成孔のナイト・ダイアローグ・ウィズ(NIGHT DIALOGUE WITH)>

> 【第一夜】2008年11月 9日(日) 17:30開場 18:00開始~19:00終了予定
> 「女は夜遊びの時、何に金を払っているのか?」
> ゲスト:湯山玲子(クリエイティヴ・ディレクター)
> ●会場: Bunkamuraオーチャードホール・ビュッフェ

↑というトーク・イベントに、昨年に引き続き出演いたしました。

菊地さんとは、けっこうトークを重ねているんだけど、今回ほど時間あたりの情報量が多いことはなかったよーな気がします。まあ、二人ともまず、相手の質問の意図に正確に答える、というよりも、その問いの中の名詞に反応して、全く違う話題を振り替えし、話がどんどん転がっていく。
でも、これってガールズ・トークの典型スタイルで、「デスプルーフインザグラインドハウス」でタランティーノが活写したあの「だらだらしゃべり」の醍醐味といえましょう。菊地成孔がこの女フィールドでやすやすトークバトルできるのも、彼がジャズのサックス吹きだから。インプロビゼーションって、そういうことじゃないか!

今回、図らずも大いに盛り上がったのは、50年代文化と80年代文化好みの「ゴッパチ」と70年代文化と90年代文化志向の「ナナキュウ」について。前者がサンダーバード、ガソリンスーパーノヴァならば、後者はプリウス。前者がピッチーニのハイヒールならば、後者はピルケンシュトック。人工美対自然。
もちろん、私も菊地さんもバリバリ前者。私の血中には中学の時、シビレまくったフィフティーズが色濃くあるのですが、彼もそのクチとは今の今までシラなんだー。終わってから楽屋で、「絶対、フィフティーズのパーティーやろうぜ」と盛り上がった次第。これ、ホントに企画しようっと!
こういうのは自然と親の教育と文化環境が出るもので、ウチの親も菊地さんの親も昭和一ケタで、戦後の焼け野原でアメリカ文化へのスウィートかつアン ビバレンツな想いを感じながら、青春を過ごした両親という共通点があるのです。ジャズの響き、そして、高度成長期に初めて、「夜遊び」が都市の特権 として発生したわけですから、そのへんがあいまって、子供のアタシたちを真綿のように洗脳していったというか・・・・。
あと、トークショーで言いそびれたのですが、ゴッパチ嗜好の人たちは、「子供的」でもあります。私は小学校の時、今でもつきあいのある遊び友達がい るのですが、彼女と誓い合った「小出しにして、一生、遊びたい」という言葉をこんなに真剣に実践するとは思いませんでした。ネオテニー=幼年形成、という言葉が全くふさわしい、未成熟ぶりです。「昔はお母さんも遊んでたのよォ」 という物言いに対しての反抗でもあったわけですが、そういう、ツッパリの美学に似た考え方はホント、大嫌いなの。ツッパリ文化は大好きなんですけれどね。
ペペ・トルメント・アスカラールの「記憶喪失学」は、新生ペペの力強くも分裂気味の大変に美しいアルバムです。ちょっとバルトーク入っていて、かつ、ロシア的な重層感もあり、なんだか、土っぽい洗練がたまらないわけです。
南米の大地とロシアの大地が串刺しにつながる、菊地流の地政学。これ、香水にたとえると、まさにアルチザン・パフュームの名作「トゥンブクトゥ」なのね。トンブクトゥはアフリカの都市なので、あらら、大陸つながりはそこまでいっちゃった。これ、今度、ホントに彼にプレゼントしようっと! 

<キャプション>
「記憶喪失学」の二曲目、「メウ・アミーゴ・トム・ジョビン」からインスパイヤされた本日のファッション。サーカスの太った玉乗りの女のイメージです。

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2008年10月25日土曜日

人生初、男性ファッション誌モデル撮影に挑戦の巻



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いわゆる、ダブルラインというヤツです。


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要するに、脇と腹の肉も総動員するとこういうバストに


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恐るべし。コルセットの威力。


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100年ぶりにウェスト出現。


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前人未踏の快挙を成し遂げたドリームチーム。左から、カメラの半沢健さん、AD!野宮真貴さん、ヘアメイクの富沢ノボルさん。


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シャンパン乾杯。
左の美女は最近痩せた担当編集の家倉ちゃん、右が編集長の松下ちゃん。まっちゃんの頭に隠れちゃったADの奔保さん。


就寝前の安らかな時間にネットサーフィンしていた方々、ごめんなさい。いやいやー、みなさん、びっくりしたことでしょう。
 不肖、湯山人生初のスタジオ、モデル撮影がこのたび実現したのでご報告します。大好きなボディーパフォーマー、アニー・スプリンクルのアートの中に、普通のオバハンをピンナップポルノスターに変身させる「THE TRANSFORMATION SALON」というのがあるが、まさしくそれ。
 マニアの皆さんのためのおふざけグラビア、もしくは、自費で年賀状撮影か(一度やってみたいものだ)と思いきや、ちゃんとしたお仕事なのですよ。しかも、堂々、エクザイルや市川海老蔵という面々が表紙を飾る、ハードコアで男伊達の人気メンズファッション誌「The COVER magazine」の11月号のページを飾るのじゃ。
 なぜ、こんな事態になったかと言いますと、編集長の好漢、松下和裕氏から連絡があって、青山で水炊きを食べたのがこの夏。彼曰く、
 「いやー、今の軟弱な若い男に精神注入棒を入れる連載をぜひお願いしたいんですよ。湯山さんいつも飲んでは若い男に説教垂れてるアレを男は待っているですよっ。ほら、僕なんかの世代はさ、ホットドッグプレスの巻頭Q&Aの北方謙三ページを読んで、男の道と言うものを知ったわけです。つべこべ言わず、男はソープへ行け! そう、これを湯山さんから今、若い男性に言っていただかないと、若い男は洋服ばかり買い続けて、日本国の将来は大変なことになってしまいます」
 若い男が服を買って内需拡大すれば日本国は助かるんじゃないのかと思うのだが、うー、これあまりにも無謀すぎる! だってさ、こーんなクロームハーツなイケメン狙いの読者たちが、何で今さら、アラフォーどころかアラフィフのババアの説教を聞くとは思えん、と辞退申し上げたのですが、なおも食い下がる松下氏。
 「いや、大丈夫です。そのために作戦があります。最初にグラビア撮影をしてガツーンとかましましょう! 昔、釣りキチ三平で読んだ、ハンマーで石を叩き、その音で眠った魚を気絶させて採るガッチン漁という伝統的な漁法があるんですが、それでいきましょう!」
 というわけで、野宮真貴さんにちらっとその話をしたら、「やるやる~。面白すぎる。私、ADやる~」ということで、あれよあれよとカメラ、半沢健、ヘアメイク、富沢ノボルというドリームチームが組まれちゃったんですね。
ーーこのくびれがいいね」と君が言ったから10月23日はウェスト記念日
 野宮説によるととにかく洋服はウェストくびれ勝負と言うことで、急遽、その道のパイオニア、ベビードールの緑川みらの氏に相談し、あれよあれよと衣装が決定。PV素材で作った打ち掛けに帯ならぬコルセットで挑むことになったわけです。打ち掛けは参考商品で作ったもののあまりにも原価が高くなってしまって商品化はあきらめた商品。いつもお世話になっているカシケイブラウンダイアモンドさんからは、今期の新商品、EAST AND WESTのラインからハイジュエリーをバーンとお貸しいただいて、確かにガッチン漁としての威力はマックスバリューに。
 そして、ご覧の通り、100 年ぶりに我が身にウェスト出現! これだけでもう、見違えるほどのスタイルができあがったのです。着物の帯よりも胸を圧迫しないだけに全然、苦しくないのにびっくり。今までこの威力を知らなかった私がバカだった。これ一発でハイブランドドレス、全部イケますよ。 
 いつもはライトの向こう側にいる自分が、被写体を経験するというのも相当面白い経験でした。まず、思い知らされるのが、自意識と見た目の大きなギャップです。「きっと、こうなっているはず」ともくろむ表情とポーズが、次々とモニターに現れる形に全く現れてこないという乖離がものすごい。イメージと実体がついていかないわけで、まるでスキーの初心者のようです。このあたりプロの野宮氏に尋ねると、撮られなれるとその乖離の幅がほとんどなくなる、のだそう。
 あとですね、途中から明らかに表情がキマリ出した瞬間があり、みんなが一斉に「入ってきたねー」と誉めてくれるのですが、撮られている自分の内面にはまーったく心境の変化が無いんですよ。なのに、明らかにモニターで見ても愕然と、撮り始めと違う表情が出てきている。これ、何なんでしょうかね。無意識領域の仕業としか思えない境地が立ち現れてくるのです。ほら、英語ってさ、あるときから突然、バーッとしゃべれるようになるじゃない、それに似た感じなのかも。
  感覚としては、私ひとりにスタッフ全員が対峙している一対多勢の感じ。スタッフの働きをもの凄く精緻に観察することになります。映画俳優やモデルさんって、わりと最初から名監督やカメラマンに転化することができるでしょ? その意味が少しだけわかったような気がします。なぜならば、彼女、彼たちは、制作の現場を最も”知る”ことができる立場にあるからです。
 撮影時には、もちろん「キレイだ、美しい」という言葉を全員から矢のごとく浴びるのですが、これも凄まじい快感です。女という文化装置の中にはこの”キレイだ賞賛”はもはや血肉化しているのだなあー、とあらためて実感。しかしながら、これ、モテとは同じ様でいて違うタームなんですね。モテはほとんど、人間力というか色気も含め内面の問題が大きく占めるので何だか仕事とか偏差値っぽい。
 しかし、"キレイ"ということはそのあたりをぶっ飛ばす暴力的な力を自覚し形として宿すようなことになるわけで、自分、そういえば、そこのところの自助努力を最近とーんとしていなかったことに気づきました。これ、ダイエットの強力なモチベーションになるかも。←ホントか。といいつつ、「このままでも、いざというときにはコルセットでキメるぜ」という逃げ道も知ってしまい、アンビバレンツな毎日が続きそうではあります。
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2008年10月2日木曜日

深浦加奈子お別れ会より一週間目の追悼



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深浦加奈子のお別れ会が、一週間前にウェスティンホテルで行われました。

その時はまだ暑かったのだけれど、この数日気温が下がって季節が変わってなんだか、やっと平常心に戻りつつある、のかなあ。(表向きには普通にいろいろ活動してたんだけどね)お別れ会の時、友人代表で贈る言葉を述べさせていただきましたが、そこにはまた、皆さんが知らない彼女の素敵なエピソードがあると思いますので、ここに掲載します。いや、しかし、私もとりあえず今後の人生しっかり歩き続かねばいかんよね。

以下、九月二十四日(水)@ウェスティンホテル恵比寿にて

深浦加奈子さんあなたが亡くなって今日で一ヶ月が経ちます。

五年間の長きにわたる闘病生活でしたが、今年の二月には元気に舞台で主役を務めていたこともあり、「もはやガンと折り合いを付けて、元気に生活していけるのでは」と思っていたら、八月十日にご実家から入院の連絡が入り、それから、ほどなくしてあなたは帰らぬ人となりました。
話したいことがいっぱいあったのに、もう、それを直接、耳にそれを届けることは出来なくなってしまいました。「退院したら、その時はお茶でも飲みながらいろいろ話をしよう」などとのんきな計画はあなたの死に際してもろくも崩れ去りました。病室での姿を見てもなお、「フカウラのことだから大丈夫」と私たちは皆信じていたのです。
 あなたに伝えたかったことを今、ここで一方的ではありますが、ほんの少しだけお話しさせていただきたいと思います。

あなたに初めてであったのは、小学校の四年生の四月でした。

まつげの長いもの凄く可愛い女の子が転校してきた、という噂は違うクラスの女の子たちの間でも話題になり、「つけまつげを体育館の裏で付けているのを見た!」というような無邪気な噂が駆けめぐったのは、今思えば、将来、女優として活躍するあなたの、いっとう最初のほほえましいゴシップだったと言えるでしょう。
 地元のこどもの国合唱団に参加していた縁で、私たちはすぐに大の仲良しになりました。
こども同士の無邪気な友達関係と言うよりも、たんに気が合う、というだけでもなく、私はとにかくあなたの放つ大人びたセンスやものの考え方に強くひかれたのです。
 当時、アバンギャルド路線をひた走っていた赤塚不二夫のマンガや筒井康隆、遠藤周作の交友録エッセイのような表現はあなたと私、そして数人の変わり者の女友達の間のバイブルのようになっていましたが、そんなセンスを最もクールに、そして大人顔負けのシニカルさでもって実行していたのはあなたです。当時、話題になり始めていた原宿の噂を聞きつけ、精一杯のおしゃれをして出かけたこともありましたね。あなたは未知の世界に私たちを触発し、連れて行ってくれる先達でした。当時のあなたは私のスーパースターでした。

こんな出来事がありました。

私たちの中学は私服でしたが、ジーンズだけは禁止。そして、先生の権力は絶対でした。ところが、遠足の時のあなたの出で立ちは、当時の流行のフィフティーズそのままのピンクのマンボズボンに襟を立てたスイングトップ。それはジーンズなんぞよりもよっぽどの不良アイテムゆえに、ことの経過をハラハラして見守っていたのですが、時代の風俗に無知な先生は「フカウラのスラックスいいね」とのんきに言う。それを大人を虜にする花のような笑顔を見せて「ええ、スラックスですから」と答え、後ろでぺろっと舌を出すようなところがあなたにはあった。
 全く、凄いウラバンぶりです。でも、こういうことをひとりでさらりとやってのけるあなたは、ものすごく格好良かった。男が男に惚れるという言葉がありますが、心ある女子はみんなあなたのファンでした。

 そんなクールなあなたが入学した女子校を止めて、日比谷高校を受験し直した時も驚きましたが、明治大学に入学してから、第三エロチカという過激な名前の劇団の旗揚げに参加するというのは寝耳に水でした。旗揚げ公演。酸欠になりそうな小劇場の暗がりで爆発するエネルギーの塊のようなあなたの姿は、今まで私が見知っている深浦加奈子のとは別の生き物のようで、その変化と圧倒的な存在感に私は驚愕しました。
 時代は相変わらず、というか以前にも増して、軽さ、意味の無さ、本気ではないことがカッコ良いというムードに覆われており、私も含めほとんどの若い女性はその影響下で女子大生ブームとやらに浮かれていたのですが、そんな風潮を尻目に、あなたはひとりで決して軽くはない、本格的な世界に毅然と足を踏み入れていました。

 今、いっしょに過ごしたいろんな場面が、出来事が思い出されます。
 山下達郎の葉山マリーナのコンサートに行った帰り、雨の中ずぶ濡れでボンクラ大学生の車をヒッチハイクしたことがありましたよね。そんなときにあなたがその輝くばかりの美貌とともに見せる”ぶりっこ”演技ぶりは本当に面白かった。横浜にあなたの車で遊びに行ったらレッカーされて、警察であなたは「何の悪気もない、か弱い女子大生」を迫真の演技で泣いて交渉したけれども、鬼の神奈川県警は車を返してはくれませんでした。あなたのとてつもない愛らしさ攻撃に心を動かされなかった若い警官はまさに警察の鏡でしたが、し方なく、ふたりでバンドホテルに泊まって、バッキー白片のハワイアンショウを観ましたね。それは、まるで昭和30年代にタイムスリップしたような空間と時間で、私たちは口をぽかんと開けて、ウクレレのあっけらかんとしたサウンドに身をまかせていました。 その不思議なホテルも今はもう在りません。  こんなふうに、あなたとの思い出のほとんどは、何がおきるかわからない冒険活劇のようでした。一生、いつまでもあなたと一緒に遊んでいたいと思わせてくれるすばらしい時間でした。  当時の若い女性というものは、今と違って大人に成った以降の選択肢がほとんど無く、限りなく精神的にはノーフューチャーでしたから、私たちはいつも苛立っていたのです。そんな中で、あなたはいつも凡庸な世間に切り込んでいく突撃隊長のようなところがありました。

 それから10数年。30代半ば、こちらがやっと本格的に仕事や人生と取り組むようになって、ようやく、あなたが若い時分に決断した境地に達し始めた頃、あなたは今度は軽やかに、テレビというまた別のプロフェッショナルなステージで独自の活躍を始めていました。あなたは常に私たちの前を行く人でした。

 そんな行動力と胆力を持った女性だったけれど、芸能界でメジャーの仕事が増えてからは、そのエネルギーが包容力のようなものに変化していったような気がします。アイドルから演技者として脱皮しようとしている女優さんの悩み相談を受けたり、若い役者さんたちの面倒をよく見ているようでした。それがどんなに役者さんたちの励みになったかということは容易に想像がつきます。

 深浦さんは本当に優しい人でした。優しくて強い人でした。「説教するぞー」などとおどけてはいましたが、たとえシビアなことを言っても、その根本には深い愛情があることを皆知っているので、彼女に相談を持ちかけるのです。私の取るに足らない不安や愚痴を温かく、そして厳しく、辛抱強く、電話で何時間もつきあってくれたことがたびたびありました。
 五年前、親しい友人だけにガンであることが知らされました。

 友人とは第三エロチカの初期のメンバーと地元久我山で深浦加奈子のカッコよさ、おもしろさに惹き付けられ30年以上も遊び続けている面々です。
 皮肉なことにいつもはお互いに忙しくて全員が顔を合わせることができない我々もこの五年の中ではたびたび全員が集まり、一緒に食事や旅行に行くことができました。最後の入院では、久々に病室に全員が揃って、写真を撮ったりバカ話をして盛り上がったり、まるで、中学時代の夏休みの登校日のような不思議な時間が存在しました。あなたは酸素チューブを鼻に入れながらも、相変わらずのシニカルな冗談を言って皆を笑わせていましたから、私はちょっとほっとして、小学校の時のマンガの貸し借りのように、「デトロイト・メタル・シティー」全巻を病院に送りましたが、それが読まれることは二度とありませんでした。

 それから、幾日も経たないうちに、病状は急速に進み、病院で最期のお別れをしました。モルヒネで意識がぼんやりした中で目と目が一瞬合ったのですが、すぐにあなたはうつむいてしまいました。しかし、握りしめた手をぎゅっと握り返してくれて、あなたは「ありがとう」と一言言った。
 私は私でものすごく言いたいことがあったのですが、その時は全く言葉が出ませんでした。「ありがとう」はこっちが言わなければならない言葉だったけれど、それをあなたの耳に届けることはもうできなくなってしまいました。
 深浦加奈子さん。

 あなたが天国に旅だった日より、前にも増してあなたが近くにいるような感じがします。それはまるで遠くに暮らす恋人を思う気持ちのようです。
 映画を観れば「この作品、フカウラだったら手厳しく酷評するだろうな」とか、下町の居酒屋に行けば「あのカップルについてフカウラならこういうね」とか、私のすべての生活にあなたが顔を出すようになった。
 あなたと話す機会は永遠に失われてしまいましたが、私の心の中にはしっかりとあなたという存在があります。もう、深夜の相談飲み会はできなくなりましたが、そんな夜はひとりで心の中のあなたに語りかけることにしましょう。

 あなたのにこやかに笑う写真に最後のお別れを申し上げ、心からご冥福をお祈り申し上げます。



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